FastSeries ブログ
2025/03/05
顧客エンゲージメントの高め方は?見るべき指標(KPI)や成功事例
価格競争に巻き込まれず、差別化を図るために重要なのが「顧客エンゲージメント」です。しかし、顧客エンゲージメントを高めるには、適切な指標(KPI)の設定や効果的な施策が欠かせません。企業と顧客の信頼関係を築くには、どのようなポイントを押さえるべきなのでしょうか。
この記事では、顧客エンゲージメントを高める具体的な方法と見るべき指標(KPI)のほか、成功事例を解説します。

価格競争に巻き込まれず、差別化を図るために重要なのが「顧客エンゲージメント」です。しかし、顧客エンゲージメントを高めるには、適切な指標(KPI)の設定や効果的な施策が欠かせません。企業と顧客の信頼関係を築くには、どのようなポイントを押さえるべきなのでしょうか。
この記事では、顧客エンゲージメントを高める具体的な方法と見るべき指標(KPI)のほか、成功事例を解説します。
顧客エンゲージメント(カスタマーエンゲージメント)とは、企業と顧客の信頼関係のこと
顧客エンゲージメント(カスタマーエンゲージメント)とは、商品・サービスを提供する企業側と、顧客との間に生まれる信頼関係のことです。顧客エンゲージメントが高いほど、企業と顧客の結びつきが強いことを示します。
顧客エンゲージメントが高い顧客は、企業およびその商品・サービスに対する愛着や思い入れが強く、価格や競合に左右されにくいため、積極的に継続購入・利用する傾向にあります。それだけでなく、「この企業の商品を買ったほうがいい」「このブランドは信頼できる」といったポジティブな口コミを広げ、ほかの顧客にも影響を与えることも期待できるでしょう。
顧客エンゲージメントが注目される背景
顧客エンゲージメントが注目される背景には、主に「商品・サービスのコモディティ化」「顧客の価値観や購買行動の多様化」があります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
商品・サービスのコモディティ化
顧客エンゲージメントの重要性が高まっている背景には、同じような商品・サービスがあふれ、品質や機能だけでは差別化が難しくなるコモディティ化があります。
こうした市場環境により、登場した当初は高付加価値だった商品も、やがて市場に浸透し、価格競争に巻き込まれやすくなります。企業が価格以外の要素で選ばれるためには、顧客とのつながりを強化することが不可欠であり、その手段として顧客エンゲージメントの向上による差別化が求められているのです。
顧客の価値観や購買行動の多様化
顧客エンゲージメントの重要性が高まっている背景として、インターネットの普及による顧客の価値観や購買行動の多様化もあります。かつては、テレビや新聞などのマス広告が購買を左右していましたが、現代の顧客はみずからニーズに合った商品を検索し、比較検討したうえで購入する傾向にあります。購入した商品・サービスをSNSやレビューサイトで評価することも一般的です。
このような環境では、企業が一方的に情報を発信するだけではなく、顧客との双方向のコミュニケーションを強化し、信頼関係を築くことが重要です。
顧客エンゲージメントと顧客ロイヤルティの違い
顧客エンゲージメントが企業と顧客の信頼関係の深さを示す「行動」に焦点を当てた指標なのに対し、顧客ロイヤルティは顧客の企業やブランドに対する愛着や継続利用の意志などの「感情」に焦点を当てます。
顧客ロイヤルティは、一般的に「自社の商品・サービスを友人や同僚にどのくらいすすめたいか」を尋ね、その回答を数値化したNPS(Net Promoter Score:ネットプロモータースコア)で判断します。
一方、顧客エンゲージメントは、顧客ロイヤルティの要素も含まれており、「企業に対する信頼」や「ブランドへの愛着」などによる行動に焦点を当てるため、専用の指標はありません。NPSをはじめ、後述する様々な指標を活用します。
顧客エンゲージメントとCX、CSの違い
顧客エンゲージメントとCX(Customer Experience:顧客体験)、CS(Customer Satisfaction:顧客満足度)は、いずれも企業と顧客の関係性に関わる指標ですが、評価の対象が異なります。
CXとは、顧客と商品、ブランドとのすべての接点における経験と、そこで感じる価値のことです。価格や性能だけでなく、接客の質やブランドへの共感なども含まれます。
CSとは、企業が提供する商品やサービスに対する顧客の満足度の評価を示す指標のことです。CXが「どのような体験をしたか」であるのに対し、CSは「その体験に満足したかどうか」を測るものといえます。
顧客エンゲージメントは、CXやCSの積み重ねによって生まれる、企業と顧客の信頼関係の深さを示します。CXが向上すればCSも高まり、その結果、顧客エンゲージメントが強化され、企業との長期的な関係につながるのです。
顧客エンゲージメントを高めるメリット
顧客エンゲージメントを高めると、企業にとって様々なメリットが得られます。ここでは、特に重要な3つのメリットを紹介します。
口コミによる商品の認知度向上
顧客エンゲージメントの高い顧客は、商品・サービス、あるいはそれらを提供する企業について、好意的な口コミをSNSなどで発信する傾向があります。このようなUGC(User Generated Contents:ユーザー生成コンテンツ)が増え、新規ユーザーの関心を集める効果が期待できます。UGCはユーザー自身のリアルな声であるため、企業が発信する広告以上の影響力を持つことも珍しくありません。
リピート率・アップセル・クロスセルの向上
顧客エンゲージメントが高いと、他社の商品・サービスに流れにくく、継続的な購買や関連商品の購入につながりやすい傾向があります。また、新規顧客の獲得には、既存顧客を維持するコストの約5倍の費用がかかるといわれており、リピート率やアップセル、クロスセルの向上は、収益の安定化に直結します。
ブランド価値の向上
顧客がブランド向上に貢献してくれることも、顧客エンゲージメントを高めることによるメリットのひとつです。
例えば、商品・サービスへの思い入れが深い顧客は、企業のSNSやコミュニティサイトなどで積極的に活用方法を共有したり、企業にフィードバックをしたりします。こうした行動は、「自分の意見や活動が、商品・サービスをより良くする」といった意識から生まれるものでもあります。
企業が顧客に価値を提供し続けることで、顧客もブランドに対して価値を提供する好循環が生まれ、企業は顧客とともにブランドを成長させられるのです。
顧客エンゲージメントで見るべき指標(KPI)
顧客エンゲージメントは、単独の指標(KPI)で測るのが難しく、複数の指標を総合して評価するのが一般的です。顧客エンゲージメントの判断基準として、使われる主な指標は下記のとおりです。
<顧客エンゲージメントで使われる主な指標>
・NPS
・レビュー数
・リピート率
・解約率
・LTV
NPS
顧客ロイヤルティの高さを測るNPSは、顧客エンゲージメントの指標にも活用可能です。NPS調査は、顧客に「あなたがこの企業(商品・サービス・ブランド)を友人や同僚にすすめる可能性は、どのくらいありますか?」という質問をして、0~10の11段階で回答してもらいます。
0~6を「批判者」、7~8を「中立者」、9~10を「推奨者」として顧客を分類し、下記の計算でNPSスコアを算出します。
<NPSスコアの計算方法>
NPSスコア=推奨者の割合-批判者の割合
NPSスコアが高いほど、企業やブランドに対する顧客の信頼度が高く、顧客ロイヤルティが高いと判断できます。
■NPSの基本の質問に対する回答の分類例NPSについて、詳しくはこちらをご確認ください。
NPSとは?意味や計算方法、顧客満足度との違いを解説
レビュー数
顧客エンゲージメントは、レビューの数や内容、拡散状況でも評価できます。単にレビュー数を見るだけでなく、ポジティブな内容の割合や、「いいね」「シェア」などの反応をチェックすることが重要です。
リピート率
リピート率が高いほど、顧客が商品やサービスに満足し、継続的に利用していると判断できるため、顧客エンゲージメントも高いと判断できます。リピート率は、下記の計算方法で求めます。
<リピート率の計算方法>
リピート率=一定期間内のリピート購入者数÷期間前の購入経験者数×100(%)
解約率(チャーンレート)
特にサブスクリプション型サービスでは、解約率(チャーンレート)の低さが、顧客エンゲージメントの高さを示す重要な指標になります。解約率は下記のように計算します。
<解約率の計算方法>
解約率=一定期間内に解約した顧客数÷期間前の顧客数×100(%)
LTV
顧客が利用開始してから終了するまでにもたらした総利益を表すLTV(Life Time Value:顧客生涯価値)が高いほど、顧客と企業で長期的な関係が築かれており、顧客エンゲージメントも高いと評価できます。一般的にLTVは下記の計算方法で算出します。
<LTVの計算方法>
LTV=顧客の平均購買単価×収益率×購買頻度×継続購買期間
顧客エンゲージメントを高める方法
顧客エンゲージメントを高めるには、適切な施策を継続的に実施し、顧客との関係を強化していくことが重要です。ここでは、5つのステップに分けて具体的な方法を解説します。
<顧客エンゲージメントを高めるためのステップ>
1 顧客データを収集する
2 カスタマージャーニーマップを作成し、顧客接点を洗い出す
3 NPSやリピート率を使って現状を分析する
4 優先すべき顧客接点から改善する
5 KPIを設定し、効果を測定する
1 顧客データを収集する
顧客エンゲージメントを高めるためには、まず、自社の顧客データを収集し、傾向や特性を把握することが不可欠です。収集した顧客データの分析を通じて、ターゲット層のニーズや購買行動を理解し、よりパーソナライズされたアプローチが可能です。
2 カスタマージャーニーマップを作成し、顧客接点を洗い出す
顧客データを収集・分析したら、そのデータをもとにカスタマージャーニーマップを作成し、顧客との接点(タッチポイント)を洗い出します。
カスタマージャーニーマップとは、顧客が商品・サービスを認知してから購入に至るまでのプロセスを可視化したものです。カスタマージャーニーマップにより、下記のようなオンライン・オフラインの顧客接点を整理し、それぞれにふさわしいコミュニケーション施策を検討します。
■オンラインとオフラインの顧客接点
3 NPSやリピート率を使って現状を分析する
顧客接点を洗い出したら、NPSやレビュー数、リピート率、解約率、LTVなどの指標を参考に現状を分析します。この分析結果をもとに、顧客エンゲージメントを高めるうえで障害になっているポイント(ボトルネック)を特定し、優先的に改善すべき部分を明確にします。
4 優先すべき顧客接点から改善する
課題を見つけたら、もっとも影響が大きい顧客接点から順番に改善を進めます。
例えば、下記のような施策がCX向上に効果的です。
<顧客エンゲージメントを向上させる施策例>
・店舗の接客レベル向上のための研修
・購入後や契約後のアフターフォローの強化
・SNSやWebサイトでの商品・サービスに関する情報発信
・24時間365日対応可能なカスタマーサポートの整備
特に、「必要な時にすぐ対応してくれる」「いつでも問合わせできる」といったCXによる満足感も顧客エンゲージメントの向上につながります。コンタクトセンターを強化し、チャットボットを導入するなどして24時間365日顧客対応を可能にするなどの施策がおすすめです。
チャットボットの導入効果について、詳しくはこちらをご確認ください。
【徹底解説】チャットボットの導入効果や事例、効果測定の方法
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5 KPIを設定し、効果を測定する
顧客接点を改善したら、施策の効果を測定するためのKPIを設定します。
KPIは、最終的なゴールに達するまでの中間目標のようなもので、目標達成に向けたプロセスや行動を定量的に把握するために使用します。顧客エンゲージメントは専用の指標がないため、NPSやレビュー数、リピート率、解約率、LTVなどの数値を活用してKPIを設定し、効果を測定するのが一般的です。
顧客エンゲージメント向上には、コンタクトセンターが重要
コンタクトセンターは、顧客エンゲージメントを高めるための重要な顧客接点です。従来の問合わせ対応やクレーム対応に加え、顧客の意見を集めて商品・サービスに反映することで、信頼関係を強化できるでしょう。
また、電話・チャット・FAQなど複数のチャネルを提供することで利便性が向上し、トラブル発生時でもスムーズな対応が可能になります。
さらに、チャットボットやビジュアルIVR、FAQサイトを活用するなどコンタクトセンターのDX化を進めることで、顧客の自己解決を促し、よりスムーズな対応が可能になります。
顧客エンゲージメント向上の事例|ケンコーコム株式会社様
ここからは、テクマトリックスが提供するコンタクトセンター向けCRMシステム「FastHelp」の導入でコンタクトセンターのDX化を進め、顧客満足度スコアの大幅な向上とコスト削減の両立を実現したケンコーコム株式会社様の事例をご紹介します。
健康関連商品販売のECサイトを運営するケンコーコム株式会社様は、コールセンター業務の国際的なパフォーマンスマネジメント規格COPC®規格(※)を活用することでCXの向上とコスト削減を実現。さらに、「FastHelp」の導入で顧客を待たせない仕組みを構築し、メールのAHT(Average Handling Time/平均応対時間)は40%、コールのAHTは26.4T%の削減という成果を上げています。※COPC®は、COPC 社(本社:米国フロリダ州)の登録商標です。
■FastHelp導入によるAHTの改善結果さらに「FastHelp」に登録したテンプレートを活用し、入力や編集にかかる操作を簡素化できたことで、AHTだけでなくACW(After Call Work、後処理)が大きく改善されました。
ケンコーコム株式会社様の取組みについて、詳しくはこちらをご確認ください。
ケンコーコム株式会社様 | 導入事例:事例一覧|FastSeries(ファストシリーズ)
顧客エンゲージメントの向上をサポートするFastSeries
顧客エンゲージメントを高めるためには、重要な顧客接点であるコンタクトセンターの活用が欠かせません。多くの問合わせに対応し、良質なCXを提供するためには、コンタクトセンターのDX化を進める必要があるでしょう。
テクマトリックス株式会社が提供する「FastSeries」は、コンタクトセンターの生産性向上を通じて顧客エンゲージメントの向上を実現するソリューションです。
■FastSeriesのラインナップチャットボットシステム「FastBot」は、プログラミング不要でシナリオ作成できるだけでなく、Webサイトはもちろん、LINEでもチャットボットを利用できる利便性が特徴です。加えて、有人チャットシステム「FastText」と連携すれば、複雑な質問や個別対応が必要な問合わせでは有人対応へとスムーズに切り替えができます。
チャットボットの導入により、コンタクトセンターの人的リソースを抑えながら、24時間365日対応を可能にし、顧客の利便性を向上させながら、企業の運営コストの削減も可能です。
また、ビジュアルIVR「FastNavigation」をWebサイトの問合わせページに設置すれば、顧客の疑問に適したチャネルへスムーズに誘導し、自己解決を促すことも可能です。また、FAQナレッジシステム「FastAnswer」では、重要な顧客接点であるコンタクトセンターで得られた貴重な顧客の声をFAQやマーケティングに生かすことができます。
こうした多様なチャネルの顧客管理は、コンタクトセンター向けCRMシステム「FastHelp」がおすすめです。
顧客エンゲージメント向上のためにコンタクトセンターのDX化をご検討の場合は、「FastSeries」の導入を、ぜひ検討ください。
コンタクトセンターの管理と業務効率化を実現するコンタクトセンター向けCRMシステム「FastHelp」
FAQ作成の業務効率化を支援するFAQナレッジシステムは「FastAnswer」
WebサイトやLINE上で顧客対応を自動化するチャットボットは「FastBot」
チャットボットとの連携もスムーズな有人チャットは「FastText」
自社希望に合わせたセルフカスタマイズができるAIボイスボットは「FastVoice」
自己解決チャネルへ適切に誘導するビジュアルIVRは「FastNavigation」