通販・卸売・小売・流通
ケンコーコム株式会社様
カスタマーエクスペリエンス向上におけるケンコーコムのチャレンジ
~COPC認証でKPIがここまで改善された~
- 導入製品・ソリューション
- FastHelp5
クラウド型
- 目的
- CX向上
- コスト削減
- 顧客満足
今回お話をお伺いした方
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執行役員
カスタマー本部長田畑 弘二 氏
医薬品や健康食品などをインターネット販売する楽天グループのケンコーコム株式会社(以下、ケンコーコム)では、COPC®規格(※1)を活用することでカスタマーエクスペリエンスの向上とコスト削減を実現。さらに、FastHelpの導入により、コールのAHTが削減するなど、KPIの改善に大きく貢献。
(※1)COPC®は、COPC 社(本社:米国フロリダ州)の登録商標です。
COPCの詳細
https://www.copc.com/
株式会社プロシード(日本におけるCOPCの総代理店)
https://www.proseed.co.jp/
もくじ |
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COPC認証の活用により顧客満足度向上とコスト削減を両立
医薬品・健康食品・飲料水・サプリメント・化粧品・介護用品・健康家電・日用品など、通常のドラッグストアの5~10倍という190,000点以上の健康関連商品をECサイトで販売しているケンコーコム。薬剤師のチャットサービスにより、第1類医薬品を24時間リアルタイムで販売するECサイトの1日の平均利用者数は15,000人以上。同社は、2016年10月、コンタクトセンター業務の国際的なパフォーマンスマネジメント規格である「COPC CSP規格 Release5.2版」の認証を取得した。
COPC規格の認証はコンタクトセンターにおいて、高い顧客満足とそれを実現するための運営ができている組織のみに提供されるグローバル基準の品質保証規格である。優秀な組織の特徴・実績を集めたものがCOPCであるため、ケンコーコムが取得したCOPC認証は、その基準を満たすことに加え、実践パフォーマンス(お客様の満足度)が向上しないと、認証資格が取れない非常に難易度が高いものとなっている。しかしながら、同時に価値が高いものでもあるため、多くの企業が申請および検討しているという。
ケンコーコムでは、このようなCOPCの特色を生かし、同社コールセンター業務の改善に取り組んだ。その結果、約2年間で顧客満足度スコアを15.3%向上させると同時に、運営コストを52.3%削減させるという驚くべき成果を上げている。
顧客満足度スコア向上(品質)への取り組み
ケンコーコムでは、顧客満足度スコア向上に挑戦し、COPCのハイパフォーマンスベンチマーク85%達成という成果を上げている。(図1)の顧客満足度スコアの経緯を見ると、1年目ではあまり成果が上がっていないように見えるが、これについて、最初の1年では、コスト削減への取り組みとCOPC取り組みへの準備期間とした結果であり、その後の1年間で、次の3つに代表される手法を実践した結果だからだという。
顧客満足度(CS)調査とオペレータ満足度(ES)調査から見えた3つの品質改善事例
(1)相関関係分析とモニタリングシートの改善
同社のコールセンターでは、これまで積極的に顧客満足度調査を実施していなかったが、今回のCOPC認証への取り組みの中で初めて顧客満足度調査を行い、「理解力」「オペレータの印象」「回答の早さ」「解決力」といった項目と「総合満足度」の相関関係を分析した。
その結果、「解決力」と「理解力」は5段階評価におけるスコアが高いにもかかわらず、「総合満足度」との相関関係が低かったのに対し、「オペレータの印象」項目は、スコアが少し劣るものの「総合満足度」との相関関係が高いということが分かった。
この分析結果をもとに、モニタリングシートにおいて「印象」に関わる項目の評価の重要度(重み)を従来よりも大幅に引き上げ、あわせて「共感力・顧客満足」と「応答能力」に関する重みも引き上げるなど、モニタリングの評価軸を変更した。
今回の分析で、どの項目の対応品質を高めれば「総合満足度」の向上に貢献するのかが明確となり、現場の意識改革につながった。さらに、そのような取り組みが顧客満足度スコアの向上という成果にもつながり、今後、さらなるスコア向上を実現するための恒久的な仕組み作りができたという。
(2)「どちらでもない」の改善
顧客満足度スコアを向上させるためには、調査結果の「悪い」という評価項目を改善するべきだということは誰でも理解できる。しかしながら、今回のCOPCの取り組みの中で、「どちらでもない(=普通)」の分析と改善が顧客満足度スコア向上の重要なポイントになるということに気づいたという。その具体例として、「メルマガ配信停止」に関する例を挙げた。
これまで同社では、「メルマガ配信を停止してほしい」という要望に対して、停止手続きのページを案内していた。その対応に対する解決率は100%だったため、そこに何か問題があるとは捉えていなかった。しかし、この対応を満足度で見ると「どちらでもない」という評価が多かったことから、この評価を「満足」に引き上げることができれば、顧客満足度スコアを向上させることができると考えた。
そこで、従来の応答に加えて、他のメルマガの配信も一括で停止できる方法を案内したところ、顧客満足度のスコア向上につながったという。これは、お客様の潜在ニーズに気付け、その対策を講じることができたことの分かり易い例である。
「どちらでもない」、つまり"良くも悪くもなく普通"と評価されている項目のボリュームは多く、少しの改善策や情報の追加でお客様の満足度をさらに上げることができることから、「どちらでもない」の改善に取り組むことで、比較的少ない労力で大きな成果を上げることができたという。
(3)ナレッジ満足度調査とナレッジの改善
3つ目の取り組みは、顧客を対象としたものではなく、オペレータに対しての調査である。オペレータが顧客対応時に活用するナレッジに対して、「内容に間違いはないか」「内容の網羅性」「周知のタイミング」「探しやすさ」「わかりやすさ」などの項目に関する従業員満足度調査を月1回実施して、ナレッジへの満足度を可視化した。
その結果をもとに、ナレッジの仕組みやマニュアルの改善を実施したことで、VOA(Voice Of Agent/オペレータの声)の改善やマニュアルのマトリクス化が実現できた。これにより、ATT(Average Talk Time/平均通話時間)の短縮や、当初は厳しかったオペレータからの評価の向上にもつながっているという。
コスト削減への取り組み
ケンコーコムでは、コールセンターの対応がECサイトのイメージに貢献することは否定しないが、基本的にはコストセンターであり、特にケンコーコムのようなECサイトでは価格競争力を維持するために、コスト削減は重要なミッションとなる。
同社では、COPC認証による取り組みで、大きなコスト削減に成功している。(図2)
「KPIの指標としてCPO(Cost Per Order/1注文あたりのCSコスト)、すなわち1注文あたりのコストを指標として52.3%のコスト削減を実施しました」とケンコーコム株式会社 カスタマー本部長の田畑氏は語る。
今後、コールセンターにおいてAI(人口知能)を活用した自動応答やFAQの充実化が進むことで、単純な問い合わせに対する対応が削減されることが期待できる。一方、オペレータのライブ対応が必要な場面では、内容が複雑化すると同時にオペレータへの負担が増えることが予想される。さらには、業務が複雑化・高度化することで、人材確保や人材育成にかかるコスト負担も大きくなってくる。
コスト削減への取り組みや改善は止まることを知らないが、そのような中で田畑氏が、ケンコーコムが実施したコスト削減に貢献した3つの取り組み事例について、次のように紹介した。
短期間で大きなコスト改善を実現した3つの事例
(1)FastHelp導入によるAHTの改善
ケンコーコムでは、コールセンター業務の効率化を図るために、2016年7月にFastHelpを導入。導入後、メールのAHT (Average Handling Time/平均応対時間)では40%の削減、一方、コールのAHTでも26.4%の削減という成果を上げている。(図3)
FastHelpに関して、環境とコストの制約から、導入時に顧客データベースと直接連携させることはできなかったが、クリップボード経由で顧客データベースから情報をFastHelpにコピーできる仕組みを開発したことで、導入コストも抑えられ、またオペレータにも負担をかけずに顧客情報を入力できる仕組みを実現した。
たった2クリックという少ないクリック数で顧客情報の入力を完了でき、さらにFastHelpに登録したテンプレートを活用することで、入力や編集にかかる操作を簡素化できたことで、AHTだけでなくACW (After Call Work、後処理)が大きく改善されたという。
(2)問い合わせ発生率の削減
コールセンターへの問い合わせログを分析した結果、1/3が注文修正関連であったことから、注文のキャンセル機能を導入。さらに、キャンペーンに関するわかりにくさ、欠品、遅延などを改善するための改善会議を週次で実施したり、サーベイの結果、VOC(Voice of Customer/顧客の声)をピックアップして毎日全社員へ配信することで社員の問題意識の向上を図ったりと、これらの施策を実施したことで、問い合わせ発生率を3.2%削減することに成功したという。
(3)ツールの総入れ替えの実施
今回ケンコーコムでは、さまざまな取り組みを実践するため、導入の負荷が軽く、さらに初期導入コストを抑えることができるツール、CRMシステム「FastHelp」とクラウド型コールセンターCTIシステム「FUSION Connect」を採用。CTIとCRMおよび顧客DBの連携により、「業務効率化」や「不要な入電の削減」といった取り組みが実現し、結果、大幅なコスト削減に成功しているという。
今後の展望
まず始めに、早ければ2017年4月にチャットAIボットを一部の販売チャネルに導入予定であるという。その後、全販売チャネルへの導入も予定しており、さらなる問い合わせ発生率の削減とコストの削減を実施していく予定だということだ。
また、爽快ドラッグ様との連携により 、サービスはもちろん、品質の面でもコストの面でもシナジーを出し、さらにお客様にご利用していただきやすいサービスを提供していきたい、と田畑氏は今後の展望について語った。
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