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2024/07/09
NPSとは?意味や計算方法、顧客満足度との違いを解説
企業の持続的な発展のためには、売上への貢献度が高い既存顧客との良好な関係づくりが重要です。特に、商品・サービスの多様化で顧客の選択肢が増え、競合との競争が激化する市場においては、一度獲得した顧客を保持できるか否かが勝負の鍵になると言っても過言ではありません。そこで役立つのが、「NPS」と呼ばれる指標です。
この記事では、顧客満足度に代わる新たな指標として注目されるNPSについて、その意味やメリット、具体的な計算方法、顧客満足度との違いなどを詳しく解説します。
企業の持続的な発展のためには、売上への貢献度が高い既存顧客との良好な関係づくりが重要です。特に、商品・サービスの多様化で顧客の選択肢が増え、競合との競争が激化する市場においては、一度獲得した顧客を保持できるか否かが勝負の鍵になると言っても過言ではありません。そこで役立つのが、「NPS」と呼ばれる指標です。
この記事では、顧客満足度に代わる新たな指標として注目されるNPSについて、その意味やメリット、具体的な計算方法、顧客満足度との違いなどを詳しく解説します。
NPSとは企業や商品への愛着度を数値化した指標のこと
NPSとは「Net Promoter Score(ネット・プロモーター・スコア)」の略で、顧客ロイヤルティを測る指標のことを指します。顧客ロイヤルティは、顧客が企業やブランド、商品、サービスに対して持っている愛着や信頼の深さを表します。顧客ロイヤルティが高い(信頼や愛着が深い)顧客は忠誠心も強く、類似する他社商品に流れることなく自社の商品、サービスを購入し続けてくれます。そればかりか、「良い商品だよ」「役立つサービスだから使ったら」というように、他者に好意的な口コミを広げて新規顧客開拓に一役買ってくれる存在でもあるのです。
購入単価、購入頻度ともに高く、売上に大きく貢献してくれることから、顧客ロイヤルティの高い顧客を見つけることは企業にとって新規顧客獲得以上に重要であるといえます。
NPS調査では、「あなたがこの企業(商品・サービス・ブランド)を友人や同僚にすすめる可能性は、どのくらいありますか?」という質問に0~10の11段階で回答してもらい、顧客全体のロイヤルティのレベルを可視化します。
NPSの調査結果からは自社と顧客との関係性、自社の立ち位置などがわかるため、NPSを定期的に計測して向上に取り組むことで業績向上につながりやすくなるでしょう。
顧客満足度との違い
NPSと似た指標に、顧客の声を事業運営に活かすための指標として長く使われている「顧客満足度(CS、customer satisfaction)」がありますが、この両者には「測定する対象」と「業績との連動性」の2点で大きな違いがあります。
測定する対象
NPSが顧客の推奨度を測るのに対して、顧客満足度は調査時点での顧客の満足度を測るため、測定の対象に違いがあります。顧客満足度の高さだけでは、他者に紹介したいと思うほどの信頼と愛着を抱いているかどうかまでは推測することができません。時間の経過とともに顧客満足度が低下する可能性は大いにあり、サービスの解約や他社への乗り換えが発生することも考えられます。
業績との連動性
NPSは信頼や愛着が継続しそうか、他者に向けて好意的に紹介する可能性があるか、といった未来の顧客の行動を予測できますが、顧客満足度は必ずしもリピート率にはつながらず、他社の商品に移行することもあります。NPSが高ければリピート率や紹介率が上がり、将来的な収益の拡大につながるでしょう。このように、NPSには業績との連動性があることから、事業成長に大きくかかわる指標として経営に活用する企業が増加しています。
NPSを調査するメリット
NPS調査によって得られるメリットは、大きく分けて下記の3つがあります。
<NPSを調査するメリット>
・自社の強みを把握し、ブランド戦略に活かせる
・商品・サービスの改善の必要性や方向性がわかる
自社の強みを把握し、ブランド戦略に活かせる
NPSを調査するメリットは、自社の強みを把握し、ブランド戦略に活かせることです。顧客の満足度を推測するための質問は企業によって異なりますが、NPSを測定するための基本の質問は1つのみです。そのため、定期的に企業のNPSを調査・公開しているサイトの業界平均値などをもとに結果を他社と比較することができ、自社の強みや立ち位置を明確にするのに役立ちます。把握した情報をもとにブランド戦略や販売戦略を立てると、スムーズに競合優位性を確立することができるでしょう。
商品・サービスの改善の必要性や方向性がわかる
NPSの結果は数値で表れるため、商品・サービスの「何がダメなのか」「何が支持されているのか」を理解することにつながります。
NPSの数値が高いということは、商品・サービスのコンセプトや価格、接遇などに満足している人が多く、継続購入やリピート購入、第三者への好意的な口コミにつながる可能性が高いことを示すため、商品・サービスの方向性や内容を変える必要はないと判断できます。場合によっては、増産したり、シリーズ商品を開発したりして売上のさらなる増加を図ってもいいでしょう。
一方、NPSの数値が悪い場合は、現状に不満を抱える顧客が多いことがわかります。この状態を放置すると、リピートや継続購入どころか他社への流出にもつながりかねないため、早急に手を打たなければなりません。
NPSの結果を属性などで分類して分析することで、改善すべき点やその方向性が見えやすくなります。
NPS調査の流れ
NPS調査の基本の流れは、「家族や友人にすすめたいと思う度合い」を聞くことです。NPSは、原則として1つの質問を投げかけるだけで実施できます。回答者も自分の感覚に合う数字を選ぶだけなので、調査の回答が比較的得やすいでしょう。
ただし、分析をより深めたいときは、評価に至った理由を自由記述で聞いたり、デザインなど具体的な評価ポイントについて聞いたりすることもあります。基本の質問以外にも質問をする場合、 項目の設定が調査の成功を左右するため、調査の目的を明確にした上で内容を組み立てることが重要です。
NPSの調査は、下記のような流れで進めていきましょう。
<NPSの調査方法の手順>
1 目的の明確化
2 アンケートの作成
3 配信リストの作成・配布
4 アンケートの集計と分析
1 目的の明確化
まずは、NPSを行う目的を明確にしましょう。目的の例として、「推奨度を測定したい」「自社製品の課題を洗い出したい」「評価されているポイントを知りたい」などが挙げられます。
2 アンケートの作成
目的を明確にしたら、目的を達成できるようにアンケートの質問項目を組み立てます。NPS調査の基本の質問は「あなたがこの企業(商品・サービス・ブランド)を友人や同僚にすすめる可能性は、どのくらいありますか?」という1つのみです。質問に0~10の11段階で回答してもらいます。
そのほか、基本の質問以外に答えてほしい質問があるかどうか、検討しましょう。例えば、課題の洗い出しが目的の場合、推奨度を聞く基本の質問以外に以下のような質問が考えられます。
<基本の質問以外の具体例>
・デザインに対する満足度を教えてください
・コストパフォーマンスにはどの程度満足していますか
評価に至った理由を聞く自由記述の質問を入れても問題ありませんが 、回答者の負担が増えると回答数に影響するため、長くても5分以内で回答が終わるよう項目を設計しましょう。
3 配信リストの作成・配布
アンケートを作成したら、NPS調査をする対象を分類し、配信リストや配布リストを作成して配布します。対象となるのは、商品・サービスを購入・体験したユーザーなどです。例えばコンタクトセンターの品質を調査したい場合は、コンタクトセンターを体験したユーザーとなります。また、調査のサンプル数は400名以上が理想です。
4 アンケートの集計と分析
アンケートで得られた結果を集計し、分析します。数値化されたNPSからは、顧客の状況や状態を定量的に分析でき、自由記述の回答からは顧客の感情や思いを定性的に分析できます。
NPSの計算方法
NPSの計算方法は、まずは基本の質問で回答された0~10の数字を、3つの属性に分類し、その割合を計算します。NPSの計算手順は以下のとおりです。
<NPSの計算方法>
1 アンケートの結果から顧客を分類する
2 推奨者と批判者の割合を出す
3 推奨者の割合から批判者の割合を引き、「%」を省略した数値をNPSスコアとする
1 アンケートの結果から顧客を分類する
アンケートの回答で得られた数値に応じて、0~6を「批判者」、7~8を「中立者」、9~10を「推奨者」として顧客を分類し、それぞれの割合を算出します。
■NPSの基本の質問に対する回答の分類例
2 推奨者と批判者の割合を出す
回答者総数から、「0~6」の批判者と、「9~10」の推奨者の割合(%)を出します。
<推奨者と批判者の割合(%)の計算方法>
推奨者数(もしくは批判者数)÷回答者総数×100=推奨者(もしくは批判者)の割合
3 推奨者の割合から批判者の割合を引き、「%」を省略した数値をNPSスコアとする
2で算出した推奨者の割合から批判者の割合を引き、計算結果から「%」を省略した数値がNPSスコアです。
<NPSの数値の計算方法>
推奨者の割合-批判者の割合=NPSスコア
例えば、推奨者の割合が30%、批判者の割合が10%なら、NPSスコアは「30-10=20」となります。
なお、NPSスコアは、業界によって平均的なスコアが違うため、目安を知りたい場合は競合他社が発表しているNPSスコアを参考にしてください。
コンタクトセンターでのNPSの活用方法
NPSを測る簡単なアンケートを接客対応のたびに実施すれば、コンタクトセンターの現状や、顧客の評価と自己評価のギャップを認識し、新たな改善点を見つけ出すのに役立ちます。また、顧客の評価が目に見えることで、従業員のエンゲージメントが向上する効果も期待でき るでしょう。コストをかけて顧客満足度調査を行わなくても、自然に顧客の声を収集できるのもメリットです。
ただし、コンタクトセンターでは、推奨度を測る基本の質問だけでは十分な情報を得ることができません。
そこで、満足度を深掘りする以下のような質問をし、詳細な情報を集めることをおすすめします。
<コンタクトセンターにおけるNPS調査の設問例>
・コンタクトセンターのサポートに対する満足度はどれくらいか
・カスタマーサポートが充実していると感じたか
・商品・サービスに、すばらしいと感じる機能があるか
・アフターフォローが充実していると思うか
コンタクトセンターの顧客体験向上には、CRMシステムも活用できる
コンタクトセンターでの顧客体験を向上させ続けるために、NPSを調査・分析することは非常に有用です。コンタクトセンターの応対品質を測るためにも、NPSの導入を検討しましょう。
コンタクトセンターでの顧客体験向上には、顧客情報や応対履歴の一元管理、オムニチャネル対応で生産性向上をアシストするコンタクトセンター(コールセンター)向けCRMシステムも役立ちます。テクマトリックスが提供するCRMシステム「FastHelp」の導入も、ぜひご検討ください。
コンタクトセンターの管理と業務効率化を実現するコンタクトセンター向けCRMシステムは「FastHelp」
FAQ作成の業務効率化を支援するFAQナレッジシステムは「FastAnswer」
まとめ
- NPSとは、企業や商品への愛着度を数値化した指標のことで、ユーザーに「あなたがこの企業(商品・サービス・ブランド)を友人や同僚にすすめる可能性は、どのくらいありますか?」という質問に0~10で回答してもらい、NPSスコアを算出する。
- NPSの計算方法は、0~6を「批判者」、7~8を「中立者」、9~10を「推奨者」として顧客を分類し、推奨者数の割合から批判者数の割合を引き、%を省略した数値がNPSスコアとなる。
- コンタクトセンターでは、NPSの基本の質問に、簡単なアンケートを接客対応のたびに実施すれば、コンタクトセンターの現状や、顧客の評価と自己評価のギャップを認識し、新たな改善点を見つけ出すのに役立つ。
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