FastSeries ブログ
2025/08/25
カスタマーディライト(CD)とは?実現方法や成功事例を紹介
商品やサービスの品質だけでは差がつきにくくなった昨今、企業は顧客に「また利用したい」と思ってもらえるような感情的なつながりをどう生み出すかが問われています。そうした中で注目されているのが、顧客の期待を超える体験を提供する「カスタマーディライト(CD:Customer Delight)」という考え方です。
この記事では、カスタマーディライトが注目されている背景や、実現するためのポイントのほか、実際の成功事例について解説します。

商品やサービスの品質だけでは差がつきにくくなった昨今、企業は顧客に「また利用したい」と思ってもらえるような感情的なつながりをどう生み出すかが問われています。そうした中で注目されているのが、顧客の期待を超える体験を提供する「カスタマーディライト(CD:Customer Delight)」という考え方です。
この記事では、カスタマーディライトが注目されている背景や、実現するためのポイントのほか、実際の成功事例について解説します。
カスタマーディライトとは顧客の期待を超える体験のこと
カスタマーディライトとは、顧客の期待を上回る体験によって驚きや感動を提供することです。日本語では「顧客感動」とも訳され、近年ではマーケティングやカスタマーサポート領域で注目を集めています。
カスタマーディライトは一度きりの施策ではなく、企業全体の姿勢や文化として根付いていることが大切です。顧客の声に丁寧に耳を傾け、日々の積み重ねによって期待を上回り続ける姿勢こそが、カスタマーディライトの実現につながります。
カスタマーサティスファクション(顧客満足度)との違い
カスタマーディライトとカスタマーサティスファクション(CS:顧客満足度)の最大の違いは、「期待に応える」か「期待を超える」かという点です。
カスタマーサティスファクションは、顧客が商品やサービスに対して想定どおりだったと感じたときに得られる満足感を意味します。これは、顧客が期待していた基準を満たすことを目指す考え方です。
一方、カスタマーディライトは、期待を超える価値を提供し、驚きや感動を引き出すことを目指します。例えば、オペレーターによる想定外の丁寧な対応や細やかな気配りを通じて、想定以上の体験を顧客に提供するようなケースです。
マーケティングの第一人者であるフィリップ・コトラー氏は、両者の関係性を下記のように整理しています。
<顧客の期待値とパフォーマンスの関係>
・期待>パフォーマンス:不満(期待より低い体験で顧客は不満を持つ)
・期待=パフォーマンス:満足(期待通りの体験で顧客は満足する)
・期待<パフォーマンス:感動(期待を超える体験で顧客は感動する)
つまり、顧客の満足は「合格ライン」にすぎず、企業の印象を強く残すためには、期待を超える価値の提供が求められるということです。カスタマーディライトは、顧客満足の次のステージといえるでしょう。
カスタマーディライトが注目される背景
カスタマーディライトが注目されている理由のひとつは、他社との商品・サービスの差別化が難しくなっていることが挙げられます。機能や価格だけでは選ばれにくい時代において、顧客の心に残る「体験」が企業の競争力になります。
さらに、SNSの普及によって、感動体験はすぐに共有され、企業の評価にも影響を与えるようになりました。
こうした時代的な背景から、顧客の期待を超える取組みは、顧客ロイヤルティの向上やリピーター獲得に直結するものとして、多くの企業が力を入れています。
カスタマーディライトを実現するためのポイント
カスタマーディライトを実現するには、顧客の理解からITシステムの活用まで、組織全体での継続的な取組みが必要です。ここからは、カスタマーディライトにおける主な実践ポイントを紹介します。
<カスタマーディライトを実現するためのポイント>
・顧客の期待値を知る
・顧客の声を社内で共有・活用する
・One to Oneマーケティングを実施する
・マニュアル通りではなく従業員に裁量も与える
・アフターフォローを徹底する
・長期的な視点で取り組む
・CRMシステムや有人チャットの導入で効率化を図る
顧客の期待値を知る
カスタマーディライトを実現するためには、まず「顧客が何を期待しているのか」を正しく把握することがポイントです。そのためには、顧客満足度アンケートやユーザーインタビューといった調査を通じて、顧客の本音を明確にする必要があります。企業側の思い込みや一方的な想像にもとづいた対応では、努力が的外れになってしまうリスクもあります。
顧客の声を社内で共有・活用する
顧客の声(VOC:Voice of Customer)を集めて分析し、社内全体で共有・活用する仕組みを整えることも、カスタマーディライトの実現に欠かせません。
コンタクトセンターでの対応履歴やSNSの投稿、商品のレビューなどから得られるVOCには、改善のヒントや新たな価値創出のタネが多く含まれています。これらをマーケティングや商品開発などの関係部署に共有し、商品・サービスの改善や成功事例の再現につなげることが重要です。
VOC分析について、詳しくはこちらをご確認ください。
VOC分析とは?顧客の声の収集方法や分析ツール、活用法を解説
One to Oneマーケティングを実施する
顧客一人ひとりに合わせた対応する「One to Oneマーケティング」は、カスタマーディライトを実現するうえで非常に効果的です。顧客の属性や購入履歴などの情報をもとに最適なタイミングで最適なサービスを届けると、顧客に「自分のことを理解してくれている」といった感動を与えることができます。
マニュアル通りではなく従業員に裁量も与える
マニュアルに沿った対応は商品・サービスの品質を保つうえで有効ですが、すべてをルールで縛ってしまうと現場で柔軟な対応ができずにカスタマーディライトにつながりにくくなります。現場の従業員にある程度の裁量を与えると、場面に応じた最適な判断ができ、よりパーソナルで感動のある顧客対応が可能になります。
また、現場で自律的に行動できる環境は、従業員の働きがいやモチベーションの向上にもつながるでしょう。
アフターフォローを徹底する
商品・サービスの購入後や契約後のフォローも、カスタマーディライトの重要な要素です。例えば、問合わせへの迅速かつ丁寧な対応や、予期せぬトラブルが発生した際の真摯なフォローによって、顧客に「この会社は信頼できる」と感じてもらえることがあります。
アフターフォローがしっかりしていると、商品・サービスへの満足度以上に、企業そのものへの好感度が高まります。
長期的な視点で取り組む
カスタマーディライトを実現するためには、短期的な成果だけを追うだけでなく、長期的に価値を提供し続ける姿勢が求められます。一度の施策で感動を生むことはできても、それが継続しなければ顧客との信頼関係は築けません。
そのためには、定期的に「顧客とのやりとりや提供プロセス」を振り返ることが重要です。問合わせや購入手続き、カスタマーサポートなど、あらゆる顧客接点(タッチポイント)における不満や課題を把握し、必要に応じて改善を重ねていくと企業の対応力や信頼性が高まります。
CRMシステムや有人チャットの導入で効率化を図る
顧客対応の質を高めるには、CRMと有人チャットを組み合わせた体制づくりが効果的です。CRMシステムによって、顧客の情報や過去のやりとりを一元管理すれば、よりパーソナライズされた対応が可能になります。また、有人チャットは、チャットボットでは対応できない複雑な要望やクレームにも対応できるため、顧客満足度の向上に有効です。
コンタクトセンターによるカスタマーディライトの成功事例
ここからは、テクマトリックスが提供するコンタクトセンターソリューション「FastSeries」を導入して、カスタマーディライトを実現した企業様の導入事例を紹介します。
CRMと連携する非同期型チャット開発でCXが向上|ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社様
「So-net」や「NURO 光」「NUROモバイル」などの通信サービスなどを幅広い事業を展開しているソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社様では、NURO 光のサービス利用者向けに電話やチャット、メール、YouTube、AIbotなど有人・無人含めたマルチチャネルでのサポートを提供しています。
同社のコンタクトセンターでは、特に有人対応チャネルで下記のような課題が顕在化していました。
<有人対応チャネルでの課題>
・同期型チャット対応:セッションが切れると過去の問合せ履歴が活用できない
・電話対応:入電量に応じたオペレーターの配置が必要
・メール対応:1件の問合わせにつき最低2往復のやりとりが発生し非効率
上記のような状況を改善するため、同社ではテクマトリックスのエンジニアチームと相談しながらCRMシステム「FastHelp」と連携した非同期型チャットを開発。Webサイトのマイページ内に導入し、下記のように顧客の利便性向上とリソースの最適化の両立を実現してCX(顧客体験)向上につながっています。
<「FastHelp」と連携した非同期型チャットの導入効果>
・24時間365日いつでも問合わせ可能に
・履歴が自動で双方に保存され、やりとりがスムーズに
・顧客が問合わせのたびに顧客情報を再入力する必要がない
・電話やメール、同期型チャット、非同期型チャットを含めた有人対応履歴の一元管理が可能に
・オペレーターのリソースの最適化
■FastHelpと連携する非同期型チャットの導入効果ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社の取組みについて、詳しくはこちらをご確認ください。
ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社 | 導入事例:事例一覧|FastSeries(ファストシリーズ)
複数チャネルの統合で管理工数の大幅削減を実現|ダイキン工業株式会社様
空調メーカーとして顧客サポートに注力しているダイキン工業株式会社様では、老朽化したCRMとサーバーOSのサポート期限が迫ったFAQシステムを刷新するため、テクマトリックスのCRMシステム「FastHelp」とFAQナレッジシステム「FastAnswer」を導入しました。
「FastHelp」の導入により、電話とメール、SMSの複数チャネルの応対履歴が統合されたほか、お問合わせ対応時にお客さまへ渡している資料も応対履歴に紐付けて管理できるようになりました。様々な顧客情報を「FastHelp」で一括検索・対応できるため、対応完了までの期間が長い案件でも、応対履歴に対して過去の経緯をすべて紐付けて管理できるため、引き継ぎ漏れがなくなるといった効果も出ています。
さらに、社内ナレッジを蓄積している「FastAnswer」については、社内で15万ほど存在している機種に紐づいた形でナレッジが整理されており、基本的には運用部隊が主体的にナレッジ登録をしている状況です。
その結果、応対時間の短縮や業務の平準化が進み、SVやオペレーターの負荷軽減にも成功しました。
管理工数を大幅に削減し、顧客満足度と応対品質の両方を高めています。
■「FastHelp」と「FastAnswer」の同時接続のイメージダイキン工業株式会社様の取組みについて、詳しくはこちらをご確認ください。
ダイキン工業 | 導入事例:事例一覧|FastSeries(ファストシリーズ)
カスタマーディライトの実現にはFastSeriesの導入がおすすめ
カスタマーディライトを実現するには、まず自社の顧客が何を求めているかを深く理解することが重要です。そのためには、日々の問合わせ対応を支える仕組みやツールの整備が欠かせません。
テクマトリックスの「FastSeries」は、CRMシステム「FastHelp」を中心としたテクマトリックスのコンタクトセンター向けソリューションです。
■FastSeriesのラインナップ「FastHelp」は、オンラインとオフラインそれぞれの顧客の購入履歴や問合わせ履歴の一元管理ができ、コンタクトセンターのオムニチャネル対応を可能にします。
■FastHelpの機能一覧そのほか、LINEとWebサイトのシナリオを一元管理できるチャットボット「FastBot」で24時間365日顧客対応や、有人チャット「FastText」へのスムーズな切り替えも可能です。
カスタマーディライトと業務効率化を実現したいご担当者様は、ぜひ「FastSeries」の導入をご検討ください。
コンタクトセンターの管理と業務効率化を実現するコンタクトセンター向けCRMシステムは「FastHelp」
FAQ作成の業務効率化を支援するFAQナレッジシステムは「FastAnswer」
WebサイトやLINE上で顧客対応を自動化するチャットボットは「FastBot」
チャットボットとの連携もスムーズな有人チャットは「FastText」
リアルタイム対話要約、回答支援、FAQ作成支援、VOC抽出ができる生成AI機能群は「FastGenie」
まとめ
- カスタマーディライトとは、顧客の期待を上回る体験によって、驚きや感動を提供する考え方。
- カスタマーディライトとカスタマーサティスファクションの違いは、「期待に応える」か「期待を超える」かという点。カスタマーサティスファクションは顧客が商品やサービスに対して「想定どおりだった」と感じたときに得られる満足を意味し、カスタマーディライトは期待を超える価値を提供することを目指す。
- カスタマーディライトを実現するためには「顧客の期待値を知る」「顧客の声を社内で共有・活用する」「One to Oneマーケティングを実施する」「アフターフォローを徹底する」などが重要。また、「マニュアル通りではなく従業員に裁量も与える」「長期的な視点で取り組む」「CRMシステムや有人チャットの導入で効率化を図る」なども実施するとよい。