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2025/09/01
コールセンターのカスハラ対策!実例や影響、対応のポイントを紹介
コールセンター(コンタクトセンター)では、多くの問合わせに対応するなかで、カスタマーハラスメント(カスハラ)と呼ばれる悪質な言動に直面することがあります。過度な要求や威圧的な発言、セクハラまがいの言動など内容は多岐にわたり、業務効率を阻害するだけでなく、現場で働くオペレーターの心身にも深刻な影響をおよぼす重大な行為です。
この記事では、カスハラの具体的な事例やクレームとの違い、コンタクトセンターに与える影響のほか、現場で実践できる対策について解説します。

コールセンター(コンタクトセンター)では、多くの問合わせに対応するなかで、カスタマーハラスメント(カスハラ)と呼ばれる悪質な言動に直面することがあります。過度な要求や威圧的な発言、セクハラまがいの言動など内容は多岐にわたり、業務効率を阻害するだけでなく、現場で働くオペレーターの心身にも深刻な影響をおよぼす重大な行為です。
この記事では、カスハラの具体的な事例やクレームとの違い、コンタクトセンターに与える影響のほか、現場で実践できる対策について解説します。
コールセンター(コンタクトセンター)におけるカスハラとは、顧客からの悪質な言動や行為のこと
コールセンター(コンタクトセンター)におけるカスハラとは、電話対応時などに顧客からの不適切な言動や態度によって、対応するオペレーターに精神的・身体的なダメージを与える行為を指します。
例えば、顧客からの「怒鳴り声や暴言」「長時間にわたる無理な要求」「業務と無関係な個人情報の詮索」「セクシャルハラスメント(セクハラ)」などに該当する発言などが代表的です。
カスハラは「ある程度は仕方がない」として見過ごされることもありますが、オペレーターの中には強いストレスを抱え、離職やメンタル不調の要因になるケースもあります。こうした事態を防ぐには、企業として明確な対応方針を定め、相談体制やマニュアルを整備することが大切です。
厚生労働省でも「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」を公表し、企業に対して組織的な防止策を講じるよう求めています。
コンタクトセンターへのカスハラに該当する行為や言動の事例
コンタクトセンターにおけるカスハラは、単に「強い口調」や「不満の表明」ではなく、オペレーターの尊厳を傷つける悪質な言動が該当します。代表的な事例としては下記のようなものが挙げられます。
■コンタクトセンターにおけるカスハラの主な事例
言動や行為 | 具体的な内容 |
怒鳴り声や威圧的な発言 | 通話中に大声で怒鳴る、「責任を取れ」と執拗に迫るなど、相手を威嚇する言動 |
差別や偏見にもとづく発言 | 性別・年齢・出身地・アクセントなどを理由に侮辱するなど、対応者の尊厳を傷つける発言 |
執拗に無理をいう要求 | 対応できないと説明しても「責任者を出せ」「今すぐやれ」などと繰り返し要求し、業務を妨げる行為 |
長時間通話による妨害 | 長時間電話を続ける、関係ない話題を延々と続ける、電話を切らせないようにするなど、ほかの業務に支障をきたすケース |
オペレーターの指名 | 特定の担当者に固執し、「◯◯さん以外とは話さない」と繰り返す要求 |
セクシュアルな発言・不適切な冗談 | 性的な話題を持ち出す、容姿を揶揄する、不快な冗談を繰り返すなど、明確にセクハラとされる言動 |
上記はすべて、正当な苦情とは異なり、オペレーター個人の尊厳や安全を脅かす不当な行為です。実際の現場では対応の一部として見過ごされやすいものも多いため、コンタクトセンター内で事前に基準を設け、見極めと対応の準備をすることが重要です。
カスハラとクレームの違い
カスハラとクレームは似たような言葉ですが、商品・サービスへの正当な意見や苦情かどうかで明確な違いがあります。
クレームは、商品やサービスに対する正当な不満や改善要求であり、企業側の対応によって品質や顧客満足の向上につながる建設的な意見です。一方でカスハラは、要求の内容が過剰だったり、言動に攻撃性・暴力性が含まれていたりするなど、オペレーター個人の尊厳を脅かすような行為が含まれます。
例えば、「商品が届いていないので確認してほしい」というのはクレームですが、「この責任どう取るんだ、土下座しろ」と怒鳴りつけるのはカスハラに該当します。適切な対応をするためには、まずこの違いを現場全体で理解することが重要です。
カスハラが起こった際のコンタクトセンターへの影響
カスハラが発生すると、影響は一人のオペレーターにとどまらず、組織全体、さらには一般の顧客にも波及します。ここでは、カスハラによって生じる具体的な悪影響を3つの視点から整理します。
オペレーター
カスハラの矢面に立たされるオペレーターは、日々の業務に大きなストレスを抱えることになります。過度な要求や暴言にさらされ続けることで、下記のように心身に深刻な影響を及ぼすケースも少なくありません。
■カスハラのオペレーターへの影響
影響 | 内容 |
体調不良や離職リスクの上昇 | 繰り返される暴言や理不尽な要求により精神的な負荷が蓄積し、休職や退職につながることがある |
電話対応そのものへの恐怖感 | 「また理不尽な言動をされるのでは」という不安から、電話が鳴るだけで強い緊張や動悸を覚えるようになる |
やる気や責任感の低下 | 感謝よりも非難や攻撃が多くなることで、前向きな気持ちを保ちにくくなる |
全体的な業務効率の悪化 | 一件ごとの対応に時間がかかり、チーム全体の処理スピードや生産性にも悪影響を及ぼす |
組織全体
カスハラが頻発するコンタクトセンターでは、オペレーター個人だけでなく、組織全体にも様々な悪影響があります。業務がひっ迫し、本来取り組むべき改善や育成に手が回らなくなるため、下記のようにサービス全体の質にも影響を与えます。
■カスハラの組織全体への影響
影響 | 内容 |
業務の生産性が低下する | カスハラ対応に時間とリソースを取られ、通常業務の処理が遅れがちになる |
対応品質にばらつきが出る | オペレーターごとのストレス耐性に差があるため、対応内容にムラが発生しやすくなる |
チームの士気や連携が損なわれる | 緊張状態が続くことで、コミュニケーションが不足し、チームの一体感が薄れる |
改善活動や教育への影響が出る | 現場が手いっぱいになり、マニュアル改善や新人教育などの時間が確保しにくくなる |
さらに、カスハラ対応を巡る悪評がSNSなどで拡散すると、企業イメージの毀損というリスクにもつながります。
顧客
一部の顧客によるカスハラが続くと、ほかの顧客にも不利益を生むこともあります。カスハラへの過剰な対応に人手が取られて放棄呼が増えるなど、本来スムーズに対応すべき問合わせに遅れが生じ、結果として企業への信頼低下や離反につながる可能性があります。
■カスハラによるほかの顧客への影響
影響 | 内容 |
電話がつながりにくくなる | カスハラ対応に人員が割かれ、電話の待ち時間が長くなったり放棄呼が増加したりする |
適切なサポートが受けられなくなる | 正当な問合わせにも迅速な対応ができず、不満や不信感が生じる原因になる |
顧客満足度が低下する | 対応遅延や不十分なサポートが続くと、「この企業に問合わせても、問題が解決できない」などと感じさせてしまう |
サービスからの離脱やブランドイメージが低下する | 長期的には企業全体への評価が下がり、顧客離れや機会損失につながるおそれがある |
コンタクトセンターのカスハラ対策のポイント
カスハラに対して現場任せにせず、組織として明確なルールと支援体制を整えることが重要です。コンタクトセンターが組織で実施すべき対策として、下記の6つのポイントが挙げられます。
<コンタクトセンターのカスハラ対策のポイント>
・カスハラ対策のマニュアル化と研修の実施
・緊急対応アラートの設置
・電話を切るのはSVや管理者にする
・通話録音と事前告知の徹底
・相談窓口の設置と情報共有体制の整備
・法的対応となる基準の明確化
カスハラ対策のマニュアル化と研修の実施
コンタクトセンターのカスハラ対策のポイントは、該当する発言や行動を具体的に明文化し、コンタクトセンター内で判断基準を共有することです。例えば、「同じ要求を3回以上繰り返す」「脅迫的な発言がある」「要件以外の通話が15分以上続く」といった条件をもとに、エスカレーションの基準やフローを明確に定義します。
顧客への伝え方まで含めたマニュアルを整備し、全員が理解できるように研修しましょう。FAQやトークスクリプトに反映することも大切です。このような対策を講じると、オペレーターがカスハラ対応時の判断の迷いを減らすことができ、スムーズな対応につながります。
緊急対応アラートの設置
オペレーターが一人でカスハラの対応を抱え込まないための対策として、電話対応中でも管理者やSVに支援を要請できるアラート機能の設置が有効です。特にコンタクトセンター向けCRMシステムなど、日常的に使用するシステムにアラート機能があると、現場での活用が進みやすくなります。
テクマトリックスのコンタクトセンター向けCRMシステム「FastHelp」には、管理者やSVに優先対応アラートを即時通知できる機能や画面転送機能が備わっており、緊急時の迅速なサポートが可能です。このような緊急連絡の仕組みを日常的に活用できる環境を整えるなどの対策を行うと、オペレーターが安心して業務に集中できます。
電話を切るのは管理者やSVにする
カスハラ対応時において、顧客との通話を終了する最終判断は、原則として管理者やSVが行うようにするといいでしょう。オペレーターが個人の判断で対応を終えるのではなく、管理側が責任を持って対応を引き取ると、現場の心理的負担を軽減できます。
通話録音と事前告知の徹底
通話録音とその事前告知の徹底も、カスハラ対策のポイントです。オペレーターに電話がつながる前に、通話内容を録音する旨のアナウンスを流すと、顧客が過激な言動を控える抑止力につながります。
録音内容は万が一の法的措置において証拠として活用も可能です。
また、対応の質を向上させる手段として、通話内容をAIで自動検知・分析できるシステムの導入も検討するといいでしょう。モニタリング業務の効率化はもちろん、早期にカスハラを把握でき、オペレーター負担の軽減にもつながります。
コンタクトセンターのAI活用について、詳しくはこちらをご確認ください。
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相談窓口の設置と情報共有体制の整備
カスハラに悩んだオペレーターの相談窓口があると、業務をするうえでの安心感につながります。また、そのカスハラを受けた日時、内容、対応者、対応内容などを詳細に記録し、関係者間で共有すると、同様の事案への再発防止策やブラックリスト化などの対策もできます。
コンタクトセンター向けCRMシステム「FastHelp」では、顧客ごとにマークをつけて管理することができ、過去に対応履歴がある場合は通話がかかってきた際にどのような顧客かを一目で識別することも可能です。
法的対応となる基準の明確化
カスハラ対策においては、警察や法的機関への対応を検討する際の基準をあらかじめ明確にしておくことが重要です。例えば、通話中や通話後に違法性が疑われる発言や発信があった場合には、すみやかにエスカレーションし、管理者が警察や社内の法務部門と連携できる体制を整えておく必要があります。
このような法的対応の判断基準をコンタクトセンター内で共有して連携体制を確立しておけば、現場の不安や心理的負担を軽減でき、組織として一貫性のある対応が可能になります。
カスハラ対策もできるCRMなら「FastHelp」
カスハラ対策がしっかりと行き届いている職場は、従業員の安心感を高めるだけでなく、応対品質の向上や顧客満足の改善にもつながります。コンタクトセンターにおいて、現場の心理的安全性を守る仕組みづくりは、企業全体のサービスレベルに直結する重要な取組みです。
テクマトリックスが提供するコンタクトセンター向けソリューション「FastSeries」のCRM「FastHelp」には、対応が難しい場合にエスカレーションできる機能や、顧客ごとにマークをつけて可視化する機能を搭載しています。
■FastSeriesのラインナップ
また、有人チャット「FastText」には、管理者やSVにサポートを要請できる手挙げ機能、生成AI機能群は「FastGenie」には、通話や通信記録からクレームの要点を要約する機能など、現場の負荷を軽減する工夫が多く搭載されています。
クレームの通話データから、ナレッジを自動生成したり、VOC分析をしたりもできるため、組織共有なども簡単です。現場のオペレーターを守るための仕組みを備えた「FastSeries」の導入をぜひご検討ください。
コンタクトセンターの管理と業務効率化を実現するコンタクトセンター向けCRMシステムは「FastHelp」
チャットボットとの連携もスムーズな有人チャットは「FastText」
リアルタイム対話要約、回答支援、FAQ作成支援、VOC抽出ができる生成AI機能群は「FastGenie」