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2021/02/02
コンタクトセンターを進化させるDX!
注目すべき「3つのデジタル化」
以前から、コンタクトセンターでもITソリューションの導入は行われていましたが、他部門と比較すると、積極的にデジタル化が進められていた、というわけではないのではないでしょうか。
しかしながら、コロナ禍によりコンタクトセンターも早急にその在り方を見直し、DXも進んで採り入れる必要が出てきました。コンタクトセンターがDXを推進するためには何が必要か、注目すべき「3つのデジタル化」についてご紹介します。
コンタクトセンターとDX
現在、メール・SNSの利用やタブレットを使った遠隔教育など、私たちの生活のあらゆる場面で進むデジタル技術の浸透。
デジタル技術は、新たな製品・サービスを生み、既存のサービスをより便利で効率的なものへと変化させています。このデジタル技術による変化を、「DX(Digital Transformation:デジタルトランスフォーメーション)」※1と呼びます。DXは2004年にスウェーデン・ウメオ大学のエリック・ストルターマン教授が提唱した概念で、「デジタル技術を使って、新しい製品やサービス、ビジネスモデルを生み出し、ネットとリアルの両面での顧客体験の変革を図ることで価値を創出し、競争上の優位性を確立する」ことを指します。
DXと似た概念として「IT化」がありますが、こちらは業務の効率化などを「目的」として、製品・サービスそのものの情報化・デジタル化を進めることを指しています。一方DXは、情報化・デジタル化を「手段」として捉え、新たな製品・サービスを生み出したり既存の製品・サービスを変えたりして、顧客体験をさらにランクアップさせ、企業競争力をつけることを指します。
この、DXは、現在様々な業種・業態で推進されていますが、コンタクトセンターも例外ではありません。ますます人員確保が難しくなり、働き方改革も求められる状況においてなお、業務効率化を進めるために、デジタル技術の活用を通して、さらなる「顧客満足度の向上」「顧客体験の向上」を目指す必要があります。コンタクトセンターにおけるDX推進は、今の変革の時代に外せないキーワードなのです。
コンタクトセンターのDXはどれくらい進んでいる?
コンタクトセンターのデジタル化は、今どのような状況でしょうか?
コンタクトセンター(コールセンター)という概念が生まれた1990年代に比べると、 CTI(コンピューターと電話を統合する技術・システム)やCRMシステムの導入など、ある程度のデジタル技術活用は進められています。
ここで、デジタル化の変遷を少しさかのぼってみましょう。
日本におけるコンタクトセンターの先駆けは、電話交換手による通話が行われていた1896年に設定された電話番号案内「500」番。この番号に電話をかけると、専門のオペレーターにつながり、電話番号案内とともに苦情や要望などを受け付けていました。オペレーターによる電話番号案内は電話交換業務が自動化されてからも行われており、1980年代にコンピューターを導入した電話番号案内「104」による自動音声案内が始まるまで続きました。1990年代に登場したCTIの導入をきっかけに、コンタクトセンターも技術革新を迎えますが、オペレーターの声で対応する基本姿勢は変わっていませんでした。
その後、携帯電話、スマートフォン、SNSなどが普及したことに伴って問合わせチャネルが多様化。蓄積したビッグデータを分析し、経営戦略に反映させるなど、コンタクトセンターが企業から求められるものも多様化してきました。企業内での多様な要望に応えるために、CRMシステムや音声認識システムなど新たなITソリューションの導入が急がれ、また、人間が行う特定の作業の一部を支援する「AI」の導入に取り組むコンタクトセンターも増えてきています。
しかしながら、既存のコンタクトセンター運営方法(紙のマニュアルや手上げによる回答支援、エクセルなどによる情報管理、顧客情報保護を目的としたセキュリティルールなど)を理由に、デジタル化の浸透が進んでこなかった側面も。
コロナ禍の影響を受けている現在は、コンタクトセンターの在り方を今一度考えなおす時。DX推進の必要性がこれまで以上に訴えられているのです。
コンタクトセンターのDXを進化させる「3つのデジタル化」
今後推進させるべきコンタクトセンターのDXにおいて、目を向けたい要素は「コミュニケーション」「プロセス」「データ」。この3つをデジタル化することが、次世代のコンタクトセンターを支えていくでしょう。
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コミュニケーション(お客さま対応)のデジタル化
お客さまとのコミュニケーションをデジタル化するにあたって最も注目度が高いものが、問合わせチャネルの多様化。
電話、メール、Web、チャット、SNS…と、問合わせチャネルが多様化した現代においては、お客さまが好むチャネルでいつでも企業とコミュニケーションを取れることが求められています。
電話のみで行っていたサポートをメールでも対応する、FAQサイトを充実させてお客さまの自己解決率を上げる、チャットボットの導入によりコミュニケーション自体を自動化させるなど、デジタル技術を採り入れてオムニチャネル化することは、「ネットとリアルの両面での顧客体験の変革を図ることで価値を創出」するDXの概念そのものです。他、IVR・ACDなどを活用した簡易的な一次対応の自動化、音声解析によるコンタクトセンターの品質向上などの取り組みも、コミュニケーションのデジタル化と言えます。この、コミュニケーションのデジタル化による問合わせチャネルの多様化は、CXを向上させることにもなり、企業の競争力強化にもつながります。 -
プロセス(業務工程)のデジタル化
働き方改革やコロナ禍がきっかけとなり、多くの分野でプロセス(業務工程)の見直しが進められています。同様に、コンタクトセンターも、デジタル化による業務効率化を進めることができるようになるでしょう。
コンタクトセンターの業務には、お客さま個別の複雑な対応が求められるなどデジタル化しにくいものが多く、在宅勤務など他部門で進んでいる働き方が採り入れられにくいことから、デジタル化による業務効率化は必ずしも進んではきませんでした。
しかし、クラウドサービスの浸透、CRMシステムやオペレーター稼働・在席管理システムなど、コンタクトセンターの分散稼働を可能にする様々なITソリューションが生まれてきていることから、これらを導入して業務効率の見直しと向上を図れるようになってきています。
また、コロナ禍を受け、センターの運営ルールの見直しを図り、ITソリューション導入だけでは叶わなかったプロセスのデジタル化による業務効率化を進めるコンタクトセンターも増えてきています。在宅勤務やテレワークなど、他部門で進められてきた働き方改革がコンタクトセンターでも可能になれば、その結果、少ない人員やコストで、お客さまへより良いサービスを提供したり、優秀な人材の確保が期待できます。 -
データ(対応履歴)のデジタル化
お客さまからコンタクトセンターに届く問合わせのデータを蓄積・分析する仕組みをデジタル化することができれば、適正な人員配置や生産性向上などによるコンタクトセンターの品質向上が期待できます。
また、蓄積データをFAQコンテンツの充実などお客さまの自己解決に役立てれば顧客満足度向上に、さらにVOC分析を行い、自社の製品・サービスの改善、セールスの機会創出、既存のお客さまのLTV向上やリテンションなどにも役立てることができます。
まとめ
- DXとは、デジタル技術を用いて「顧客体験の変革を図ることで価値を創出」すること。
- コンタクトセンターは業務の性質上、デジタル化が遅れており、早急なDX推進が求められている。
- コンタクトセンターのDX推進において注目すべきは「コミュニケーション」「プロセス」「データ」のデジタル化。
※1出典:総務省.“第1部 特集 人口減少時代のICTによる持続的成長”.平成30年版 情報通信白書のポイント.平成30年.https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h30/pdf/n1000000.pdf
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