FastSeries ブログ
2023/02/22
コンタクトセンターの呼量削減!デジタルチャネルへ誘導する方法とは
コンタクトセンターの運営課題として呼量削減が挙げられる一方、以前にもご紹介したように、シニア世代の問合わせチャネルについては、引き続き「電話」のニーズが高い状況です。こうした状況下で呼量削減という課題を解決する重要なカギとなるのは、いかにシニアを電話から他のデジタルチャネルへ誘導するか、です。
今回は、シニアをFAQサイトなどのデジタルチャネルへ誘導し、自己解決を促すポイントを紹介します。
呼量削減のカギは「シニアによる自己解決」の促進
以前、こちらの記事でもご紹介したように、コンタクトセンターへの問合わせ方法で電話を希望する割合はお客さまの年代が上がるほど高くなる傾向にあります。つまり、最初にWebサイトなどで疑問の自己解決を試みるシニアの割合は、他の年代と比べて低くなります(※1)。
コンタクトセンターに問合わせをする前に、お客さまに疑問を自分で解決してもらい、結果としてコンタクトセンターへの呼量(電話の量・コール数)を減らすこと(呼量削減)を目的にFAQサイトやWebチャットを導入しても、疑問が生まれたらまず電話するシニアをデジタルチャネルへ誘導しないことには、コンタクトセンターへの呼量の全体的な削減は難しいでしょう。
ただ、総務省が2021年に実施した「通信利用動向調査」(※2)によると、60~69歳のインターネット利用率は84.4%。シニアがWebサイトで自己解決を図る土壌は十分に整っていると言えます。それでも引き続きコンタクトセンターへの電話問合わせが減らない現状を鑑み、シニア世代には、まず「デジタルチャネルを使ってもらう」ことを最初の目標に定め、いかにしてデジタルチャネル(FAQサイトやWebチャット、メールや問合わせフォームなど)へ誘導するか、という取り組みを進めてみましょう。
シニアをデジタルチャネルへ誘導するポイント
シニアをデジタルチャネルへ誘導する第一歩は、デジタルチャネルの存在そのものと利用するメリットの啓蒙にあります。24時間365日、自分の都合でいつでも疑問の解決を図れるデジタルチャネルの機能と魅力を知ってもらうことは、シニアのデジタルシフトへの有効な後押しとなるでしょう。
デジタルチャネルへの誘導にあたっては、次の3つのポイントを意識してみてください。
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広報活動でデジタルチャネルの存在を周知する
普段あまりメールやインターネットを利用しない人たちの目にも広く留まるよう、まずは紙のDM(郵送物)や店頭での告知を通じてデジタルチャネルの存在や利用メリットを知らせることが最初の施策としておすすめです。
その上で、Webサイト上やメールマガジンなど自社から情報発信しているデジタル媒体でも案内や利用を呼びかけるとよいでしょう。 -
サポート窓口を設けて利用のハードルを下げる
デジタルチャネルを使い慣れていないと、その存在やメリットを知っても利用に抵抗を感じるかもしれません。そこで、FAQサイトや問合わせフォームの使い方などデジタルチャネルについて学べる専門の電話窓口や店頭窓口を設け、わからないことがあれば気軽に質問できる環境をつくれば、利用の心理的ハードルを下げることが期待できます。
また、デジタルチャネルの利用解説動画を公開し、お客さま自身がそれを見ながら操作できるようにしたり、印刷用マニュアルをWebサイト上に用意しておくのも効果的です。 -
PCよりもスマホ利用を前提に応対チャネルを整える
近年はシニア世代にもスマートフォンが広く普及しています。しかも所有しているシニアの約半数が普段からSNSを利用し、そのうち約8割がLINEを利用しているという統計(※3)もあります。
こうした傾向を踏まえれば、日ごろから使い慣れているスマートフォンやLINEを前提に応対チャネルを用意することでも一定の効果が期待できます。
自己解決ツールであるチャットボットを、シニアにとって普段から使い慣れたLINEで運用すれば、利用のハードルが低く感じられデジタルシフトがスムーズに進むでしょう。
シニアが使いやすいWebデザインのポイント
せっかくシニアをデジタルチャネルへ誘導しても、Webサイトが見づらかったり使い方がわかりづらいと、結局途中で断念してしまい電話で問合わせることになりかねません。そうした事態を防ぐために求められるのが、次のようなシニアに配慮したWebデザインです。
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伝える内容をわかりやすくまとめる
Webサイトに情報が多すぎると理解が追いつきにくくなるので、伝える内容は簡潔かつ明確にまとめることが原則。また、専門用語は使わず、外国語の表現に慣れていないシニアのために「FAQ」を「よくある質問」と言い換えるなど、アルファベットやカタカナをなるべく使わない配慮も必要です。
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情報はビジュアルを活用して見やすく表示
シニアに限らず、Webサイトでの説明が長い文章だけだと読みづらく、内容の理解を妨げます。写真・図・表・動画などを用いて、視覚的に情報を整理しましょう。
また、クリックするボタンやリンクを大きなサイズで目立たせることも大切。さらに、操作方法や機能の説明が常に画面に表示されるようレイアウトしたり、操作方法を教える専門窓口を案内するとより親切です。 -
文字や色は目に優しく
一般的に高齢者は視力が低下し、小さな文字が見えにくくなります。文字の大きさや太さはもちろん、フォントの種類や行間のゆとりにも注意するなど、読みやすさを意識する必要があります。
また、老化で眼球の水晶体が黄色く濁ると色の区別が付きにくくなるため、コントラストが明確になるように色を組み合わせましょう。色覚の変化によって青系の色の識別力も落ちるので、暖色系の色使いを意識するとよいでしょう。
シニアにデジタルチャネルでの自己解決を促すには、利用してもらうための周知と、シニアに寄り添ったUIデザインが不可欠です。
さらに、シニアを意識したデザインの工夫は、シニア世代以外のお客さまにとっても使いやすく、全世代でのデジタルシフト推進とそれに伴う呼量削減へとつながることでしょう。今回紹介したポイントを押さえて、デジタルチャネルの活用を推進しましょう。
まとめ
- シニア世代では依然として、電話によるお問合わせが主流。コンタクトセンターの運営課題である呼量削減をするには、シニアをデジタルチャネルへ誘導して疑問の自己解決を促す取り組みが求められる。
- シニアのデジタルシフトを進めるには、デジタルチャネルの存在を周知することが第一歩。さらに、機能や使い方を教える専門窓口を設けて、利用の心理的なハードルを下げることにも努めたい。
- せっかく誘導したデジタルチャネルでスムーズに自己解決を図ってもらえるよう、適度な情報量や視覚的なわかりやすさなど、シニアにとって使いやすいWebデザインに配慮したい。
※1出典:NTTコム.“【2021年度版】事前のWEB検索は当たり前!性年代別に見るコールセンターに電話をかける前の顧客行動とは”. NTTコム オンライン. 2021-12-20.
https://www.nttcoms.com/service/mobileweb/column/20211220/ (参照 2022-12-16)
※2出典:情報通信研究機構(NICT). “高齢者のインターネット利用率”.情報通信研究機構(NICT).
https://barrierfree.nict.go.jp/relate/statistics/elder_net.html (参照 2022-12-16)
※3出典:MMDLabo株式会社. “「シニアのコロナ禍におけるスマホ利用について」分析レポート”.MMD研究所. 2021-04-05
https://mmdlabo.jp/press_release/detail_1948.html (参照 2022-12-16)
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