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2025/02/04

KCSとは?FAQを活用したコンタクトセンターの業務改善を解説

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コンタクトセンターをスムーズに運営するために、スタッフ同士がノウハウを共有する仕組みづくりは不可欠です。しかし、日々の業務に追われてノウハウの整備まで手が回らなかったり、知見が属人化したりして、うまくいかないことも多いのではないでしょうか。こうした課題を解決し、業務の効率化を実現するために注目されているのがKCSです。
この記事では、コンタクトセンターの業務改善につながるKCSの特長や導入のメリット、運用方法のほか、課題への対処法もご紹介します。

KCS(ナレッジセンターサービス)とは、組織内でナレッジを活用するための管理方法

KCS(Knowledge-Centered Service:ナレッジセンターサービス)とは、組織内に蓄積するナレッジを収集、管理、共有、再利用するためのフレームワークです。
KCSの理念や実践方法は、ナレッジの活用に課題を抱えるIT企業などが出資して立ち上げたアメリカの非営利団体「Consortium for Service Innovation」によって発表されました。このフレームワークは長年にわたって研究・改良され、多くの組織で採用されています。

なお、「ナレッジセンターサービス」は最近まで「ナレッジ センター サポート」と呼ばれていました。現在は、より一般的な用語として「ナレッジセンターサービス」が浸透しています。

KCSはコンタクトセンターに適したソリューションデータベースでの利用が前提

KCSは、顧客や案件ごとに異なる状況に対応するための「ソリューションデータベース」を活用するのが前提です。ソリューションデータベースとは、問合わせに応じて具体的な解決策を柔軟に提示するためのデータベースを指します。従来の知識データベースとは異なり、固定的な情報ではなく、状況に応じた解決策を提供することを目的としています。

特に、商品やサービスが多様化し、問合わせ内容も複雑化した現代では、その時々で最適な対応策を示すソリューションデータベースが不可欠です。KCSは、このソリューションデータベースの活用方法や管理方法、さらにはシステムの選定基準などを体系化しており、ヘルプデスクやコンタクトセンターを中心に、広く活用されています。

コンタクトセンターにおけるKCSの運用フロー

KCSの運用フローでは、顧客からの問合わせに対して、まずオペレーターがFAQを検索することが基本です。
回答が登録されている場合は、その内容をもとに顧客に回答を伝え、対応内容をCRMなどに記録します。一方、FAQに回答がない場合は、新たなFAQを登録するプロセスに進みます。

<FAQに回答が登録されている場合のフロー>
1 顧客から問合わせを受ける
2 オペレーターがFAQを検索する
3 FAQに回答があれば、内容を確認する
4 回答を顧客に伝える
5 問合わせ内容とFAQのリンク先をCRMなどに登録する

■FAQに回答が登録されている場合のフロー
KCS-flow-when-FAQ-is-answered.png<FAQに回答が登録されていない場合のフロー>
1 顧客から問合わせを受ける
2 オペレーターがFAQを検索する
3 FAQに回答がなければ、FAQナレッジシステムに問合わせ内容を登録する
4 ナレッジ作成者が問合わせ内容を確認し、FAQナレッジシステムに回答を登録する
5 オペレーターが登録された回答を確認する
6 回答を顧客に伝える
7 問合わせ内容とFAQのリンク先をCRMなどに登録する

■FAQに回答が登録されていない場合のフロー
KCS-flow-when-FAQ-is-not-answered.pngなお、KCSのスムーズな運用には、コンタクトセンター向けのFAQナレッジシステムの導入がおすすめです。テクマトリックス「FastAnswer」は、オペレーターが作成した問合わせ内容を、ナレッジ作成者に確認してもらうプロセスも、ひとつのプラットフォームで完結します。承認依頼、承認却下、承認完了時、それぞれのステータスで各担当者にメール通知されるため、見落としもありません。

■FastAnswerによるFAQ承認フローの例
FAQ-approval-flow-in-FastAnswer.png

fastanswer-introduction-page2-728-90px.png

コンタクトセンターにおけるKCSの運用のポイント

コンタクトセンターでKCSを効果的に運用するためには、問合わせ対応時やナレッジ登録時に押さえておくべきポイントがあります。ここからは、KCS運用時の具体的なポイントについて見ていきましょう。


オペレーターは問合わせのたびに必ずFAQを検索する


KCSでは、顧客からの問合わせについてオペレーターが自身の知識で対応できる場合でも、必ずFAQを検索しなければなりません。これには、下記の3つの理由があります。

<オペレーターがFAQを必ず検索する理由>
・対応中の問合わせが、すでにFAQに登録されているかを確認するため
・回答に漏れや誤解がなく、正確な情報を提供するため
・回答が最新の情報に更新されている可能性があるため

FAQを検索するプロセスを徹底することで、問合わせの品質を均一化し、顧客からの信頼を高めることができます。また、FAQに該当する回答がない場合には、新しいナレッジを登録する体勢を整える必要があります。


FAQに回答がない場合は、オペレーターが「質問内容」を登録する


KCSでは、顧客からの問合わせに対する回答がFAQで見つけられない場合、オペレーターはFAQナレッジシステムに質問内容を登録します。この初期登録内容を「下書き」といいます。
問合わせ内容を把握しているオペレーターが、すぐに下書きを作成することで、現場に即したナレッジが作成され、回答の作成スピードの向上が可能です。また、同様の問合わせが発生した際にも迅速な対応ができるでしょう。

FAQの作り方について、詳しくはこちらをご確認ください。
【FAQの作り方】問合わせ削減に向けた手順や構成を解説
FAQの事例について、詳しくはこちらをご確認ください。
FAQの成功事例を5つ紹介!問合わせ削減のためのコツと活用イメージ
fastanswer-introduction-page-728-90px.png


ナレッジ作成者が回答を作成し、登録する


KCSでは、FAQにない問合わせについて、オペレーターが登録した下書きをもとに、ナレッジ作成者が回答を作成・登録し、即座に公開します。このジャスト・イン・タイムの考え方でコンテンツを作成することにより、新たな問合わせにも迅速に対応でき、同じ質問でのエスカレーションを防ぐ効果があります。

KCSの特長

KCSには、「ナレッジの棚卸しが不要になる」「知っているナレッジを確認することで回答の質を上げられる」などの特長があります。ここからは、KCSの主な特長を3つご紹介します。


ナレッジの棚卸しが不要になる


KCSでは、蓄積された膨大なナレッジを棚卸しし、一つひとつを見直す必要はありません。問合わせを受けたオペレーターは必ずFAQを確認するため、修正が必要であればナレッジ作成者に修正依頼を上げる仕組みにすることで、内容のブラッシュアップができます。さらに、新しい問合わせが入るたびに、ナレッジが作成され、効率的にナレッジの共有と蓄積ができます。
また、あまり使用されていないナレッジはアーカイブし、必要性が高まった時に再利用することも可能です。このように、KCSは効率的かつ継続的にナレッジを管理・活用できる仕組みとなっています。


知っているナレッジを確認することで回答の質を上げられる


KCSによってオペレーターがFAQを検索する習慣が身につくと、すでに知っているナレッジについても新たな発見が得られます。「この説明を追加すればわかりやすい」「この方法のほうが効果的だ」といった改善点が見つかり、回答の質を上げることができるでしょう。
また、オペレーター全員がKCSのプロセスを徹底することで、組織全体の対応を高いレベルで均一化する効果もあります。


ひとつの問合わせに複数の回答を紐づける


FAQは一問一答形式が一般的ですが、KCSでは、ひとつの問合わせに複数の解決策を紐づけてナレッジを作成することも特長です。
同じ問合わせ内容でも、顧客の環境や状況によって適した解決策が異なる場合もあります。ひとつの問合わせに複数の回答があれば、顧客が抱える問題に対して、迅速かつ柔軟に最適な解決策を提示できます。
一方で、状況に合わせた解決策の記述が増えることで、今度はナレッジの視認性が悪くなるといった問題も出てくることもあります。できるだけ簡潔に書けるのが望ましいですが、難しい場合は問合わせの状況に応じて分岐が可能なFAQなどを検討すると良いでしょう。テクマトリックスのFAQナレッジシステム「FastAnswer」では、分岐型FAQも作成可能ですので、ぜひご検討ください。

コンタクトセンターでKCSを利用するメリット

ここからは、KCSを利用することで期待できるメリットについて解説します。コンタクトセンターで得られる主なメリットは、下記の3つになります。


属人化の防止とナレッジの蓄積


KCSが浸透すると、オペレーター全員の経験やノウハウが、ナレッジとして蓄積されるメリットがあります。この結果、経験年数や問合わせの難易度にかかわらず、ナレッジベースを活用した、質の高い対応が可能になります。
また、「この質問は〇〇さんが得意」「これは××さんにしかわからない」といった属人化が解消され、誰でも同じレベルの対応ができ、オペレーター全体のスキルの底上げにつながるでしょう。


生産性の向上


KCSでは、オペレーターが回答に迷った際に上司に判断を仰ぐ必要がなく、ナレッジを活用した自己解決が可能になります。これにより、時間と手間が削減され、生産性の向上が期待できます。
また、どのような問合わせに対しても、過去のナレッジをもとに顧客の求める回答にもっとも近い情報を正確に返すことが可能です。新規の問合わせに対しても即座に回答が作成されるため、オペレーターがゼロから対応を考える負担が減る効果もあります。


顧客満足度の向上


KCSを導入すると、顧客対応の質とスピードが保たれ、顧客満足度が上がるメリットもあります。「どのオペレーターに対応してもらっても満足できる」「スピーディーに対応してもらって助かる」と感じる顧客が増え、リピート率の向上にもつながるでしょう。

KCSの課題と対処法

KCSはメリットの多い方法ですが、いくつか課題もあります。ここからは、KCSの課題を対処法とともに解説します。


従来の運用フローの見直しが必要になる


KCSをコンタクトセンターで導入するには、従来の運用フローを根本から見直し、新しい仕組みを全員に周知する必要があります。これまでの運用では、オペレーターが自身の知識で顧客対応し、対応できない場合のみエスカレーションするのが一般的でした。
一方、KCSは、オペレーターが対応可能な場合でも、必ずFAQを確認します。もし回答が見つからなければ、問合わせ内容を記載した新規ナレッジの下書きを作り、ナレッジ作成者が回答する仕組みです。そのため、KCS導入の際は、抜本的に社内体制を変更する必要があります。


オペレーターの負担や反発に備える必要がある


KCSを運用する際は、社内体制の大幅な変更を伴うため、オペレーターが負担に感じたり、反発をしたりする可能性もあります。「今の業務で手いっぱいなのに、作業が増える」と感じるオペレーターがいることにも配慮し、丁寧な説明や研修を行う必要があります。
KCSを導入することで得られるメリットや、ナレッジ作成が短時間ですむことを具体的に伝えながら、社内の文化的な壁を徐々に取り除き、KCSの定着を目指しましょう。

コンタクトセンター向けナレッジシステムはFastAnswerがおすすめ

KCSは、コンタクトセンターの抜本的な体制変更が必要ですが、ナレッジが更新されやすく、オペレーターの負担が少なくなる効果もあります。

KCSを運用するには、テクマトリックスの「FastSeries」がおすすめです。応対終了後にCRMシステム「FastHelp」に入力した問合わせ内容からワンクリックでFAQナレッジシステム「FastAnswer」へ連携し、ナレッジを簡単に作成することができます。

ナレッジを有効活用した顧客対応に向けてKCS運用をご検討の際は、ぜひテクマトリックスにお気軽にお問合わせください。

FAQ作成の業務効率化を支援するFAQナレッジシステムは「FastAnswer
コンタクトセンターの管理と業務効率化を実現するコンタクトセンター向けCRMシステムは「FastHelp

まとめ

  • KCS(ナレッジセンターサービス)とは、組織内に蓄積するナレッジを収集、管理、共有、再利用するためのフレームワークのこと。
  • KCSの運用フローは、顧客からの問合わせに対してオペレーターがFAQを検索し、回答が登録されている場合は、その内容をもとに顧客へ回答する。FAQに回答がない場合は、オペレーターが質問内容を作り、ナレッジ作成者が回答文を入力・登録して、新たなFAQとして公開するのが基本となる。
  • KCSの特長は、「ナレッジの棚卸しが不要になる」「知っているナレッジを確認することで回答の質を上げられる」「ひとつの問合わせに複数の回答を紐づける」などがある。

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