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2024/10/24

コールセンターのKPIとは?各指標の意味と算出方法、目安を詳しく解説

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多くのコールセンター(コンタクトセンター)では、「対応の品質を上げる」「生産性を向上させる」といった目標を掲げています。しかし、こうした目標は、達成度を客観的に把握しにくく、目標に向かって進んでいるのか、達成できているのか、明確になりにくいのが現実です。そこで重要になるのが、コンタクトセンターで設定するKPI(重要業績評価指標)です。

この記事では、コンタクトセンターにおけるKPIの各指標の意味や算出方法のほか、具体的な目安などについて詳しく解説します。

コールセンター(コンタクトセンター)のKPIとは?

コールセンター(コンタクトセンター)におけるKPI(Key Performance Indicator)とは、主に応対品質や顧客満足度、生産性、マネジメントなどを評価するために設定される指標のことです。

KPIとは、ビジネスの最終的なゴールであるKGI(Key Goal Indicator:重要目標達成指標)の達成に向けた進捗を示すための指標です。KPIを設定せずにKGIを達成しようとすると、現状とKGIとの間にあるギャップを把握することが難しくなります。その結果、「目標達成までに無駄な時間を費やす」「期限間際になって達成が困難であることが判明する」などの問題が発生します。

KPIを設定することで目標までの進捗を可視化できるうえ、必要に応じて行動を修正することができるため、効率的に目標達成を目指すことができるのです。

コンタクトセンターでKPI管理が重要な理由

コンタクトセンターのような組織においては、KPI管理が特に重要といわれています。その理由は、大きく分けて2つあります。


オペレーターの入れ替わりが頻繁


コンタクトセンターでKPI管理が重要になる理由の1つは、オペレーターの入れ替わりが頻繁にあることです。
同じオペレーターが長期間勤務している場合、「最近、顧客のクレームが増えている」「電話がつながるのが遅いと指摘されることが増えた」など、顧客満足度や応答率の低下に早期に気づき、組織内で共有して改善を図ることができるでしょう。

しかし、短期間勤務のオペレーターが多いと、問題が見過ごされたり、エスカレーションされなかったりするリスクが高まります。その結果、管理者が問題に気づいたときには、すでに大きな問題に発展しているケースも少なくありません。

オペレーターの経験や勘に依存しないKPIを設定することで、オペレーターの入れ替わりにかかわらず、管理者が現状を正確に把握できるようになります。そのため、問題が発生した際には、早期に軌道修正することが可能になります。


オペレーターの目標が抽象的


コンタクトセンターでKPI管理が重要になる理由は、オペレーターの目標が抽象的になる傾向があるからです。
コンタクトセンターで掲げられる目標は、一般的に「顧客満足度を向上させる」「対応品質を上げる」などです。この場合、目標の達成に向けた行動指標が「顧客の問合わせに丁寧に応対する」「顧客の話をじっくり聞く」といった具体性に欠けるものになり、達成度が属人化してしまうことがあります。

しかし、KPIを設定して指標を数値化し、分析すれば、オペレーター一人ひとりが適切な行動をとりやすくなり、組織全体の目標達成に向けた取り組みをより効率的に進めることができます。

コンタクトセンターの応対品質についてのKPI

コンタクトセンターの応対品質についてのKPIは、顧客からの問合わせに対するオペレーターの応対レベルを評価する指標です。適切な対応ができているほど、顧客満足度やブランドイメージの向上につながるため、コンタクトセンターにおいては重要な指標となります。

応対品質にはさまざまな評価基準がありますが、一般的には「応答率」「放棄率(放棄呼率)」「サービスレベル(SL)」「平均応答速度(ASA)」の4つのKPIから判断することが多いでしょう。
ここからは、それぞれの算出方法と目安を解説します。


応答率


応答率とは、顧客からの問合わせ電話にオペレーターが対応できた件数の割合です。応答率の算出方法と目安は、下記になります。

応答率の算出方法
応答率(%)=応答件数÷総着信数×100

目標より高い応答率が出せていれば、リソースの配分や業務フローが最適化されているといえます。反対に、応答率が低い場合は、問合わせ数に対してオペレーターが不足している状況と考えられます。

顧客視点では「問合わせれば、必ずオペレーターが対応してくれる」状態が望ましいですが、着信件数には波があるため、常時100%の応答率を目指すのは非現実的です。そのため、多くの企業では90%以上の応答率を目指します。


放棄率(放棄呼率)


放棄率(放棄呼率)とは、総着信数のうち、オペレーターにつながるのを待たずに顧客が電話を切った数の割合です。一定時間内にオペレーターに接続されず、システムが自動で切断したケースも含みます。放棄率の算出方法と目安は、下記になります。

放棄率(放棄呼率)の算出方法
放棄率(%)=放棄数÷総着信件数×100

放棄率が高い場合は、顧客が「電話がつながりにくい」と感じている可能性が高く、「1件ごとの対応が長期化している」「オペレーターが不足している」などの要因が考えられます。放棄率が高いと顧客満足度の低下や機会損失につながるため、放棄率の目安は0%を目標にする企業が多いでしょう。


サービスレベル(SL)


サービスレベル(SL)とは、目標時間内にオペレーターが電話をとることができた割合です。応答率と同じく、電話のつながりやすさを示す指標で、顧客からの電話がオペレーターにつながるまで、どのくらいかかったのかがわかります。サービスレベルの算出方法と目安は、下記になります。

サービスレベル(SL)の算出方法
サービスレベル(%)=設定時間内に応答できた件数÷総着信数×100

例えば、20秒以内の目標を掲げて100件中70件で目標を上回った場合、サービスレベルは70%です。サービスレベルは、一般的に、20秒以内に80%応答することを目安にします。

なお、サービスレベルと応答率は比例する傾向にあり、応答率の改善がサービスレベルの向上につながります。


平均応答速度(ASA)


平均応答速度(ASA:Average Speed of Answer)とは、問合わせの応答にかかった平均時間です。平均応答速度が短いほど、顧客を待たせずに応対ができていることを示します。
平均応答速度の算出方法と目安は、下記になります。

平均応答速度(ASA)の算出方法
平均応答速度(秒)=応答までにかかった時間の合計(秒)÷総着信数

例えば、応答までにかかった時間の合計が20時間で、総着信数が4,000件であれば、平均応答速度は18秒となります。平均応答速度は、20秒を目安にすることが一般的です。

コンタクトセンターの顧客満足度についてのKPI

コンタクトセンターの顧客満足度についてのKPIとは、自社のサービスに対して顧客が感じている満足度を評価する指標です。顧客満足度のKPIは、主に「顧客満足度(CS)」と「顧客推奨度(NPS®)」の2つで評価されます。


顧客満足度(CS)


顧客満足度(CS:Customer Satisfaction)は、自社の商品やサービスに対する顧客の満足度を示します。顧客満足度が高ければ、リピーターの獲得や顧客ロイヤルティの向上につながる可能性が高いと判断できます。

顧客満足度は、計算式を使って数値化するのではなく、顧客にSMSやメールなどでアンケートを送り、実際の声を集めてデータ化するのが一般的です。


顧客推奨度(NPS®)


顧客推奨度(NPS®:Net Promoter Score)は、企業や商品、ブランドに対する顧客の愛着度を示すKPIです。NPS®が高い顧客は、企業やブランドを他者にすすめる確率が高く、企業の業績にプラスの影響を与えるとされているため、NPS®は重要な指標となります。

NPS®を求める際は、顧客に「あなたがこの企業(商品・サービス・ブランド)を友人や同僚にすすめる可能性は、どのくらいありますか?」という質問をして、0~10の11段階で評価してもらいます。さらに、評価に応じて0~6は批判者、7・8は中立者、9・10は推奨者と分類します。

■NPS®の質問に対する回答の分類イメージ
nps-question.png
上記の分類における推奨者と批判者の数値を用いて、NPS®を算出します。

<顧客推奨度(NPS®)の算出方法>
顧客推奨度=(推奨者数-批判者数)÷全体数

なお、NPS®スコアは、業界によって平均的なスコアが違うため、目安を知りたい場合は競合他社が公表しているNPS®スコアを参考にすることをおすすめします。

※ネット・プロモーター、ネット・プロモーター・システム、ネット・プロモーター・スコア及び、NPS、そしてNPS関連で使用されている顔文字は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、NICE Systems, Inc.の登録商標またはサービスマークです。

NPS®について、詳しくはこちらをご確認ください。
NPSとは?意味や計算方法、顧客満足度との違いを解説

コンタクトセンターの生産性についてのKPI

コンタクトセンターの生産性についてのKPIとは、オペレーターの対応スピードや効率性を評価する指標です。生産性は、主に「稼働率」「平均通話時間(ATT)」「平均後処理時間(ACW)」「平均処理時間(AHT)」「コスト・パー・コール」の5つのKPIで評価します。


稼働率


稼働率とは、オペレーターが勤務時間中に顧客対応を行った時間の割合です。一定のラインまでは、稼働率が高いほど、オペレーターの業務が効率的に行われていることを意味します。
稼働率の算出方法と目安は下記になります。

稼働率の算出方法
稼働率(%)=(着信待機時間+通話時間+後処理時間)÷給与支払い時間

稼働率の目安は、80~85%が一般的です。稼働率が85%を超える場合、オペレーターの勤務環境を見直す必要があります。稼働率が100%に迫ると、オペレーターが休みなく稼働していて、過剰な負荷がかかっている可能性があります。
一方、稼働率が80%を切る場合は、オペレーターのリソースが余っている可能性があるため、リソース配分の再検討が必要です。


平均通話時間(ATT)


平均通話時間(ATT:Average Talk Time)とは、オペレーターと顧客とが通話している時間の平均値です。平均通話時間の算出方法は、下記になります。

平均通話時間(ATT)の算出方法
平均通話時間(秒)=総通話時間÷総対応件数

平均通話時間は、案件の内容や顧客のタイプによって変動しますが、基本的には短いほど効率的な応対ができているといえます。
平均通話時間が長い場合は、丁寧に対応しているとも考えられますが、総対応件数が少なくなることに注意しなければなりません。また、平均通話時間が極端に短いときは、「顧客への対応が雑」「マニュアル通りの対応に終始している」などの可能性があるため、見直しが必要です。

平均通話時間の目安は、対応の質と効率を両立できるラインを見極めて、案件やオペレーターのスキルに沿って目標を決めましょう。


平均後処理時間(ACW)


平均後処理時間(ACW:After Call Work)とは、顧客との通話後に行う処理にかかる時間の平均値です。平均後処理時間の算出方法と目安は、下記になります。

平均後処理時間(ACW)の算出方法
平均後処理時間(秒)=総後処理時間÷総対応件数

平均後処理時間は、短いほど良いとされていますが、案件の内容やオペレーターのスキルによって、最適な目標設定が必要です。


平均処理時間(AHT)


平均処理時間(AHT:Average Handling Time)とは、平均通話時間と平均後処理時間を合わせた、対応全体にかかる時間の平均値です。平均処理時間の算出方法と目安は、下記になります。

平均処理時間(AHT)の算出方法
平均処理時間(秒)=平均通話時間+平均後処理時間

例えば、平均処理時間が10分であれば、1時間で6件の対応ができることを示します。
平均処理時間は、短いほど対応数を増やすことができ、生産性が高まります。また、平均処理時間の短さは、オペレーターのスキルや知識が深いことを示しており、適切なトレーニングを積んでいることの証明にもなるでしょう。

平均処理時間の目安は、案件内容やオペレーターのスキルによっても変わるため、適切な目標を設定する必要があります。

AHTについて、詳しくはこちらをご確認ください。
AHT(平均処理時間)とは?計算式とコンタクトセンターの改善方法


コスト・パー・コール(CPC)


コスト・パー・コール(CPC:Cost Per Call)とは、1件の電話対応にかかるコストを示すKPIです。コンタクトセンターの総コストを総対応件数で割って算出する数値で、総コストには人件費のほかオフィスの賃料、通信費などが含まれます。
コスト・パー・コールの算出方法は、下記になります。

コスト・パー・コール(CPC)の算出方法
コスト・パー・コール=コンタクトセンター総コスト÷総対応件数

コスト・パー・コールは、コンタクトセンターで最も重視されるKPIの1つであり、企業ごとに目安は異なります。コスト・パー・コールの目標値が高い場合は、1人のオペレーターが対応する件数を増やす、または費用を圧縮するといった施策を検討しましょう。

コンタクトセンターのマネジメントについてのKPI

コンタクトセンターのマネジメントに関するKPIは、オペレーターの勤務状況を適切に管理し、職場環境を健全に保つために重要な指標です。マネジメントのKPIは、主に「欠勤率」と「離職率」の2つが挙げられます。


欠勤率


欠勤率とは、オペレーターが予定されている勤務日数に対して、欠勤した日数の割合を示す指標です。欠勤率が高い場合、オペレーターの身体的・精神的な不調が背景にあることが多く、職場環境や勤務時間に問題がある可能性があります。
欠勤率の算出方法と目安は、下記になります。

欠勤率の算出方法
欠勤率(%)=1ヵ月の欠勤日数合計÷予定勤務日数

欠勤率の算出方法は、上記のほかに、早退や遅刻をした時間を含めた欠勤時間を使用する方法もあります。
欠勤率は0%が理想ですが、オペレーターの体調不良や家庭の事情など、避けられない理由で欠勤することもあるため、完全な0%を目指すことは難しいでしょう。しかし、欠勤率が高い場合は、その背景を調査し、必要に応じて職場環境の改善をする必要があります。


離職率


離職率は、一定期間内に離職したオペレーターの割合を示すKPIです。コンタクトセンターはオペレーターの入れ替えが頻繁なため、離職率はマネジメントにおいて重要な指標となります。
離職率の算出方法と目安は、下記になります。

離職率の算出方法
離職率(%)=離職者数÷従業員数

コンタクトセンターの離職率は、労働者人口の減少や職場環境、勤務時間など内的・外的な要因によって変動しますが、平均的には約30%とされています。
離職率が高い場合、オペレーターの定着率が低いことを意味し、採用やトレーニングにかかるコストが増加します。これを防ぐためには、定期的な従業員面談や意見収集を行い、早期に職場環境を改善することが重要です。

KPIを設定する際の注意点

KPIを設定するためには、いくつか注意点を押さえる必要があります。ここからは、KPIを設定する際に注意すべき3つのポイントをご紹介します。


業務や目的に合ったKPIにする


コンタクトセンターでKPIを設定する際には、業務や目的に合ったKPIにすることが大切です。例えば、コンタクトセンターの業務が、顧客からの問合わせに対応する「インバウンド」か、オペレーターから顧客に発信する「アウトバウンド」かによっても、適切なKPIは異なります。

インバウンド業務では、顧客の課題をスピーディに解決することが主な目標です。そのため、平均処理時間や平均応答速度が重要なKPIになります。一方、アウトバウンド業務では、アポの取得や売上の向上が目的であるため、オペレーターの稼働率や架電数がKPIとして重視されます。


達成可能なKPIを設定する


コンタクトセンターでKPIを設定する際は、達成可能なKPIを設定するようにしましょう。現実的ではない目標は、組織全体のモチベーションを低下させる原因となります。自社の現状をよく理解し、少し努力すれば達成可能なレベルのKPIを設定することが、組織のパフォーマンス向上につながります。


改善や調整を随時行う


KPIを設定した後も、状況に応じて改善や調整を行うことが大切です。会社の状況や市場の変化により、重要度の高いKPIが変わる場合もあります。そのため、定期的にKPIを見直し、必要に応じて優先順位の変更や目標の調整を行うことで、常に最適なパフォーマンスを維持できるようにしましょう。

KPI管理にCRMシステムを活用しよう

コンタクトセンターが企業の利益に貢献するためには、KPIが非常に重要です。しかし、多くのオペレーターがシフト制で働くコンタクトセンターでは、KPI管理が複雑になり、管理者の負担が大きくなる傾向があります。その場合は、コンタクトセンター向けCRMシステムや、KPIなどを把握できるシステムの導入がおすすめです。

テクマトリックスのコンタクトセンター向けCRMシステム「FastHelp」は、ダッシュボード表示により、管理者やオペレーターがリアルタイムでKPIの達成状況を確認することができます。また、KPIの集計結果を確認・分析が容易なため、早期の職場環境改善に役立ちます。
さらに、コンタクトセンター向け有人チャットシステム「FastText」には、KPI管理に最適な問合わせ件数や、時間帯ごとのオペレーターの対応状況などの統計情報を出力できるレポート機能を搭載。CSV形式でダウンロードも可能なため、分析や出力なども簡単にできます。

自社の状況に合わせて柔軟にKPIを見直し、適切な業務改善につなげられる「FastHelp」と「FastText」の導入を、ぜひご検討ください。

コンタクトセンターのKPI管理と業務効率化を実現するコンタクトセンター向けCRMシステムは「FastHelp
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まとめ

  • コンタクトセンターにおけるKPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)とは、主に応対品質や顧客満足度、生産性、マネジメントなどを評価するために設定される指標。
  • コンタクトセンターでKPI管理が重要な理由は、「オペレーターの入れ替わりが頻繁にある」「オペレーターの目標が漠然としがち」などが挙げられる。
  • コンタクトセンターにおけるKPI管理には、コンタクトセンター向けCRMシステムの活用がおすすめ。FastHelp」なら、KPIの達成状況をリアルタイムで見たり、集計結果を確認・分析したりすることが可能。

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