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2021/03/09
【前編】AIの技術革新って知ってる?
その60年の変遷とコンタクトセンターの歴史をたどる
今、第三次ブームを迎え、目覚ましい進化に注目が集まるAI(人工知能)。
「人間のように学習して推測・判断する知的な情報処理」を目指してデジタル技術の先端的進化を続けているAIが、コンタクトセンターでも活用されることによってさらなる変化がもたらされることが期待されています。
AIは、どこから生まれ、どのような変遷を経て、私たちの産業構造に取り込まれていったのでしょうか。
今、第三次ブームを迎え、目覚ましい進化に注目が集まるAI(人工知能)。
「人間のように学習して推測・判断する知的な情報処理」を目指してデジタル技術の先端的進化を続けているAIが、コンタクトセンターでも活用されることによってさらなる変化がもたらされることが期待されています。
AIは、どこから生まれ、どのような変遷を経て、私たちの産業構造に取り込まれていったのでしょうか。
第一次AIブーム:推論・探索の時代(1950年代後半~1960年代)
コンタクトセンターはもちろん、世界各国の産業界から熱い視線を注がれ急速に進化している「AI(Artificial Intelligence:人工知能)」。
人間のように学習して推測・判断する知的な情報処理をコンピューターが行うことを目指したAIは、60年以上も前の1956年に、米国のダートマス大学で開催されたワークショップ「人工知能に関するダートマス夏期研究会(The Dartmouth Summer Research Project on Artificial Intelligence)」で行われたデモに登場した言葉です。このデモで世界に初めてAIが登場してから、多くの研究者がAIの研究と開発に乗り出した1960年代までの期間は「第一次AIブーム」とされています。
当時は、人間がある問題に対して思考する過程を記号で表現する「推論」と、その過程をパターン化して課題解決のための適切なパターンを探る「探索」のための研究開発が進められていました。一方、この頃の日本では、一般家庭用電話機の開発・導入など技術革新が進んだことから、「104」に統一された「電話番号案内サービス」のような、自動音声による応対システムなどコンピューターシステムが導入されました。
研究開発により様々なアルゴリズム(課題解決のための処理・計算手順)が考案されたAIは、人間にとっては何時間もかかるような難しいパズルを瞬時に解いてみせたり、複雑な迷路を素早く通り抜けたりすることができるくらいに進化しました。しかし、この段階では、一定のルールのなかで解を出す「トイ・プロブレム(おもちゃの問題)」にとどまることが分かり、戦争や経済問題など社会的な課題の解決には至らないとみなされるようになったことから、第一次AIブームが収束しました。
第二次AIブーム:知識を入れると賢くなる(1980年代)
トイ・プロブレムしか解けないとみなされたAIでしたが、1980年代に再び注目を集め、「第二次AIブーム」を迎えます。コンタクトセンターが、お客さまからの問合わせや相談、苦情などの窓口を一本化し、業務効率化を図るために、電話とコンピューターを統合する「CTI(Computer Telephony Integration)」を導入し始めたのもこの年代です。
この期間では、AIに「知識」を与える研究が進みました。
課題に関する知識をプログラムとしてコンピューターに与えることで、課題解決のための回答をAIが導き出せるようにしたのです。この研究により特定の領域にAIが専門家(エキスパート)のように回答する「エキスパート・システム」が数多く生まれ、医療・金融分野などの日常業務に採り入れられるようになりました。ただしこの知識は、AIが人間のエキスパートと同等の回答を導き出すために、膨大な情報を人間がプログラムとして用意しなければなりませんでした。そのため、例えば病院の診察室で患者が「何だか分からないが具合が悪い」と訴えるような、あいまいな事象に対しては回答できず、一般常識レベルの内容であっても回答できない場合があることも分かってきました。
コンピューターの計算速度や容量などが、AIに期待される処理スピードを実現できるレベルに至っていなかったこともあり、AIから得られる知識に限界があることが露呈し、第二次AIブームは収束しました。
第三次AIブーム:機械学習・深層学習の技術の発展(現在)
そして現在は、2000年代から続く「第三次AIブーム」を迎えています。注目を集めている技術は「機械学習」。
そして、第一次・第二次ブームでは実現しなかった、状況判断に用いるための要素を自動的に分類して習得する「ディープラーニング(深層学習)」という新技術が、AIの学習方法を大きく発展させました。与えられた知識を取り出すことしかできなかったAIが、ディープラーニングによってコンピューターが人間のように学習して推測・判断する知的な情報処理を行うことに近づいたのです。
同時期に、コンタクトセンターも大きな技術革新の時期を迎えます。1990年代のCTIに加えて「CRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)」の概念が採り入れられ、コンタクトセンターはお問合わせ内容をデータとして蓄積・分析して応対品質を向上させるためのデジタル化に取り組み始めました。
2021年の現時点では、AIの技術は人間並みに自発的・自律的な行動ができるところまでは到達していません。しかし60年以上にも及ぶAIの研究開発を進めるなかで、検索エンジンや音声・文字認識、自然言語処理などの副産物が生まれました。
最近多くの企業で活用されているチャットボットも私たちの実生活に取り入れられているAIのひとつです。
判断の正誤性やデータ利用の法整備など、課題はまだまだ残されているものの、AIは今後さらなる発展の可能性を秘めており、私たちの生活をより良いものに導くために期待されている分野です。
まとめ
- 第一次、第二次ブームを経て、現在は「ディープラーニング」による第三次AIブームを迎えている。
- 技術の進化により、AIは単純な課題を解くものから、状況判断と習得を行うレベルまで発達し、文字認識や自然言語処理などの副産物も生み出している。
- 課題は残るものの、コンタクトセンターのデジタル化にも貢献するAIの発展は、今後も大いに期待できる分野である。
後編では、AIをコンタクトセンターに採り入れることで何が起きるのか、どんな場面で活用できるのか、事例も交えながらご紹介します。
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