製造

トヨタコネクティッド株式会社様

VOC蓄積とデータ活用の可能性を広げる「FastHelp5」
~トヨタのカーライフ支援に必要なCRM基盤として活躍~

導入製品・ソリューション
FastHelp5

クラウド型

目的
CX向上
VOC活用
応対品質管理
情報分析・共有化
業務効率化
経営・利益貢献
顧客データ活用

今回お話をお伺いした方

  • コネクティッド本部
    エンゲージメント推進部
    部長

    M 氏

導入前の課題

  • 外部システムとの結合度が強い作りとなっているため、改修に費用や期間が多くかかる
  • VOCの蓄積や蓄積データ活用を想定したCRMシステムの構成になっておらず、顧客の声を思うように活用できない

導入後の効果

  • 年間90万コールの応対を安定稼働で実現しながら、平均応対時間を30秒ほど短縮させることに成功
  • VOC活用を想定したカテゴリ構造で応対履歴を記録でき、コールリーズン分析やデータ活用しやすい基盤が整備できた
  • 使い勝手の向上でオペレーターの入力負担の軽減やプロセスの短縮を実現。カスタマイズも容易に実施できるようになった

背景と目的

  • 既存環境が老朽化
    品質向上のため新たなCRMシステムを

    自動車オーナーに対するヒューマンコネクティッドサービスを展開するトヨタコネクティッド株式会社(以下、同社)では、トヨタ自動車が展開する通信サポートサービスを活用して提供されているドライブサポートを支援するためのコンタクトセンター(以下、コネクティッドセンター)を運営している。
    このコネクティッドセンター業務で利用していたCRMシステムのサービス終了に伴い、センターの安定稼働と応対品質向上のため、新たなシステム導入を計画。顧客の声(以下、VOC)を蓄積し、トヨタグループのサービス/品質向上にも貢献する新たな環境整備を進めることになった。

  • 安定稼働の実績を評価
    移行の負担軽減にもFastHelp5が最適と判断

    同社のコネクティッドセンターでは、緊急対応なども含めた24時間365日対応が求められる。以前のCRMシステム(他ベンダーによるスクラッチ開発システムを利用)からFastHelp4)へ切り替えた後の安定稼働の実績を評価し、2020年のシステムリプレイス時にも他社CRMシステムと比較した結果、テクマトリックスのFastHelp5を採用することを決定した。採用の決め手には、以前からのオペレーターの評価、移行時の教育のしやすさもあったという。新たな要件として設定していた、VOC蓄積・活用を想定した項目構造にすること、他システムとの疎結合が可能であることもFastHelp5導入時に実現した。

    (※)FastHelp5の前世代製品




“限りなくカスタマーインへの挑戦”を企業理念に掲げ、トヨタの顧客接点としてヒューマンコネクティッドサービスの提供と新たなモビリティの可能性を拡げる事業を展開しているトヨタコネクティッド株式会社。新たなモビリティサービス創出に向け、モビリティサービス・プラットフォーム(MSPF)といったビッグデータ活用基盤の構築およびソリューション開発を行っているMaaS事業をはじめ、車両データを活用したコネクティッドサービスを提供するコネクティッド事業、セールスからアフターサービスまでを一貫してサポートするディーラーインテグレーション事業、そしてWebサイトからシステムの構築、データ分析まで一貫したサービスを提供するデジタルマーケティング事業を手掛けている。

そんな同社では、トヨタ自動車が展開している通信サポートサービス「T-Connect」を基盤として、安心・安全、快適・便利なコネクティッドサービスを提供しているが、そのサービス拠点となるのが、全国5つの拠点にて顧客対応の窓口を担うコネクティッドセンターだ。オペレーターに行きたい場所や知りたい情報を伝えることで顧客に代わって検索やナビへの送信を行う「オペレーターサービス」や車内に設置された警告灯が点灯した際などに車載機やスマートフォンアプリに通知を行い、走行が継続できるかどうかのアドバイスを行う「eケア」などのサービスを展開している。

コネクティッドセンターでは、顧客応対のためのCRMシステムとともに、顧客の要望に応じて目的地情報などを車載機にプッシュする機能を持ったシステムを活用して業務を行っているが、これらの業務基盤が老朽化を迎え、2014年頃新たな環境への移行が求められた。
「当時のシステムは、他ベンダーがスクラッチ開発をしたものだったため、車載機へのプッシュ機能などが充実しており、俗にいうCRMシステムの基本機能すらも完ぺきにはない状態でした。そこで、応対履歴や顧客情報をきちんと管理できるCRMシステムを導入することを望んでいました。また、24時間365日、サービスを止めることなくお客さまへの対応を行っているため、安定性を重視した基盤づくりが必要です。その意味では、システム更新などのタイミングでもサービスをできる限り停止させずに運用し続けられるものが必要でした」とM氏は当時を振り返る。

そこで複数のソリューションを候補として検討するなかで注目したのが、コンタクトセンターCRMシステム「FastHelp4)」だった。「FastHelp4に切り替えたことによって、応対履歴の蓄積など、基本的な顧客管理を行うことができるようになりました。また運転中のドライバーからのコールに丁寧で迅速な対応を行うべく、入電時にオペレーターへ顧客情報を迅速に表示させるためのCTIシステムとの連携も実現しました」。その後、2020年頃サービス提供終了に伴い、新たなCRMシステムを導入する必要が生じたが、その際にはテクマトリックスのCRMシステム以外の他社製品も比較検討したという。「最重要項目だったのは、無停止稼働できるか 、ということでした。FastHelp4利用時、製品が原因でシステム停止したことは一度もなく、 その実績を高く評価し、最終的にFastHelp5の採用を決めました。365日、24時間サービスがとまらないことが必須条件であり、その点、FastHelp4は安定しており、社内実績として高く評価したのです」とM氏。
(※)FastHelp5の前世代製品

また刷新時の新たな要件として、顧客が要望する情報をプッシュ通知する目的地送信の機能とCRMシステムが密結合していたことで負担の大きかった改修作業がシンプルに実施できるよう、疎結合によるシステム実装が可能な基盤づくりが必須だったという。「グループ全体のなかでも”顧客との接点”という重要な役割を担い、その最前線に立っている立場として、年間で90万ほどあるコールをVOCとしてきちんと蓄積し、グループ全体に還元することでサービス/品質向上に役立てたいと考えています。そこで、応対履歴をうまくカテゴライズして蓄積、分析できる基盤づくりも意識しました。また、ITシステムの操作に不慣れなオペレーターもいるため、切り替え後の生産性悪化からの速やかな回復も、システム移行の上で大切でした。FastHelp4からFastHelp5へのリプレイスであれば、ユーザーインターフェイス(以下、UI)や操作感にも違和感なく、オペレーターにとっての負担も軽減できると判断したのです。教育工数もその分短縮できました」。

導⼊の効果

  • 安定したクラウドCRM基盤を実現
    平均応対時間が30秒短縮

    現在はAWS上にFastHelp5の環境を構築し、365日、24時間稼働するコネクティッドセンターを運営。全国5拠点で、オペレーターや管理者約300名がFastHelp5を活用して顧客からの問合わせに対応している。
    FastHelp5UIや整理された項目による入力のしやすさ、そしてCTI連携やプッシュ機能システムの連携の効果で、オペレーターの平均応対時間を30秒ほど短縮させることにも成功した。稼働後の日々の業務のなかでオペレーターから提案される改善要望に対しても、システムの疎結合を実現したことによりスピーディーに対応できるようになったという。

  • 図1:FastHelp5導入効果
  • VOCの効率的な収集を
    開発へのフィードバックに活用

    さらに、VOC収集・活用を想定した入力項目のカテゴリ設定を実装したことで、VOCの効率的な収集やデータ活用が可能になった。得られた情報は分析結果をグループ関連部署へフィードバックすることで、”顧客の声”を使えるデータとして還元、企業理念の実現に役立てている
    FastHelp4の頃から担当しているテクマトリックスに対しては「当時の構築背景や業務フローを十分に理解し助言をしてくれたおかげで、プロジェクト全体のコミュニケーションが円滑になり、とても助かりました。いつもユーザーサイドに立ってくれる姿勢や最短で理解できるやり方の工夫をしてくれるなどの助力も心強かった」と評価する。

現在、AWS上にFastHelp5の環境を構築し、可用性を高めるために全ての環境を冗長化し、センターの安定稼働を担保しているという。全国5つの拠点では、オペレーターや管理者の約300名が顧客応対時にFastHelp5を活用している状況だ。FastHelp5を利用したサービスは、オペレーターサービスおよびeケアが中心となっており、年間では90万コールほど、1日のなかでは特に「お出かけ時間」となる繁忙時間において、1時間あたり700を超える入電数があるほどだ。

入電した時点でCTI連携したFastHelp5に顧客情報が表示され、オペレーターが「はい、オペレーターサービスです。○○様、本日はいかがいたしましょうか」と、お客様のお名前をお呼びかけしており、このおもてなしが顧客からも喜ばれているという。その後、顧客からのお問合わせ内容やご要望を確認し、目的地設定であれば目的地検索システム側で検索を実施し、最適な情報を車載機やアプリに対してプッシュ送信する。そのやり取りのなかで拾い上げた顧客の声をFastHelp5にカテゴリごとに入力してVOCの記録を行っていくことになる。
「ナビの機能に対する問合わせやETCカードの挿入場所確認といったものから、表示されている警告灯の意味やその際の対処法など緊急を要するケースまで、カーライフに関係する様々なシーンを、その都度FastHelp5に必要な情報を記録しながら、顧客応対にあたっています」とM氏は説明する。
FastHelp5導入を機に、この入力項目のカテゴリ構成を整理したことで、ただ履歴を蓄積する、ということにとどまらず、開発やサービスに顧客の困りごとや改善点をフィードバックするために使えるデータ蓄積が効率的にできるようになりました」。この改善は、オペレーターによる入力作業の負担軽減はもちろん、グループ関連部署に顧客の声が届けやすくなったと好評だ。この活動が継続して行われていくことで、NPSも含めた満足度向上にも寄与していくことが期待されている。

FastHelp5の使い勝手についても、以前のFastHelp4の頃からオペレーター評価が高く、システムリプレイスを経ても使い慣れたUIや操作性を維持できたことで、システム入れ替えの心理的ハードルを低くすることができたと評する。新たな環境への移行がスムーズだったことで、教育にかかる時間も大幅に軽減できたという。「CTI連携や入力項目の整理などによって、使い勝手がさらに向上し、オペレーターの平均応対時間を30秒ほど短縮させることができました。初めてFastHelp5に触れたメンバーからは非常に使いやすいという声が多く寄せられています」。

また、FastHelp5導入を機にそれまで、FastHelp4内でカスタマイズ実装していた目的地送信の仕組みを疎結合によるシステム連携に変更。この変更によって、それぞれのシステムに改修を行いたいときの工数や費用の削減が可能になったという。「安定稼働が最優先事項ではあったのですが、そのうえでシステムローンチ後の細かな改善・改修をいかにスピーディーに無駄なく行うか、ということを意識しました」とM氏。これによって、日々の業務の中でオペレーターから寄せられる改善要望にもスムーズに応えられる環境が整ったという。「長年FastHelp4を活用してきた慣れたメンバーからは、使い勝手に関する細かな改善要望が常に寄せられており、より使いやすくなるよう、できる限り改修していきたい」と今後の活用にも意欲的だ。

導入を行ったテクマトリックスについては、FastHelp4導入の頃からの担当者が引き続き担当したことで、「当時の仕様に至る背景や業務理解が十分進んでおり、プロジェクトにおける円滑なコミュニケーションに大きな役割を果たしてくれた」と評価する。「常にユーザーサイドに立ってくれていて、具体的には操作説明時間をとってくれるなど、時間が取れないなか、最短で理解できるやり方の工夫をしてくれるなど、いろいろな場面で助けていただき感謝しています。とりわけ、担当していただいたSEは当社の業務をよく理解しており、例えばプロジェクト中に発生した多くの課題に対し、常に業務影響とプロジェクトQCDが両立できるプロフェッショナルな解決策を提案してくれました。私の経験の中でこのような対応が行えるSE(会社)はとても少ないです。高く評価しています」と、同社のプロジェクト推進でM氏とともに技術的な推進を担っていたK氏も話す。

今後の展開

  • 在宅センターへの挑戦や
    デジタルトークスクリプト活用も

    今は各拠点に在籍するオペレーターがセンターに出勤し顧客からのコールを受けているが、今後は在宅でも受電できる環境づくりに向けて、トライアルを始めている段階にある。「FastHelp5を含めた環境をクラウド上に構築したことで、新たな働き方の可能性が現実的になりました」とM氏は意欲的に語る。

    また、現在はExcelを中心としたトークスクリプトにて運用を行っているが、FastHelp5内のデジタルトークスクリプトに徐々に移行したいという。「目的地設定の応対とは違い、緊急対応が求められるeケアに関しては、オペレーターの心理的な負担も大きい。マルチスキルで対応しているオペレーターにとっては、日常的な応対と緊急時応対が混在すると気持ちの切り替えが必要で、そのためには回答支援ツールが有効だと考えています。今はトークスクリプトをExcelで何とか運用していますが、うまくデジタル化/システム連携し、オペレーターの負担軽減と応対品質の向上に役立てていきたい」とM氏。同時に、生産性向上に向けたUI改善も継続的に行うことで、最小限の入力操作で顧客との会話に集中できるような環境をさらに整備していきたいと話す。

  • 顧客応対の最前線として
    さらなるVOCの収集を目指す

    顧客応対の最前線に立つコネクティッドセンターだけに、現状取得しているVOCをさらに詳細に蓄積できるような環境づくりにも意欲的に取り組んでいきたいという。「目的地設定した情報をお客さまに通知するだけでなく、例えばお伝えしたレストランをご利用いただいた後の評価をフィードバックいただけるような環境を整備し、情報提供の精度を高めていくような活動にも役立てていきたい。何か問合わせをいただいた場合でも、何気ない一言のなかに要望や改善に対する期待が含まれているケースも少なくありません。そんな感情の機微などもうまくテクノロジーを活用しながらデータとして蓄積していける環境づくりにも挑戦したい」と今後について語っていただいた。

作成日時2022年12月

記載の情報は2022年11月時点のものです

社名
トヨタコネクティッド株式会社様
設立
2000年10月6日
事業内容
新たなモビリティサービス創出に向けたビッグデータ活用基盤構築やソリューションの開発・提供を行なっているMaaS事業をはじめ、車両データを活用したコネクティッド事業、ディーラーインテグレーション事業およびデジタルマーケティング事業を展開。

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