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2020/09/15

コンタクトセンターの在宅化は可能か?
その課題とメリット

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緊急事態宣言下で急速に進んだとされる「テレワーク」。コンタクトセンターは、在宅勤務が難しい職種とされてきましたが、一方で、在宅化によって得られるメリットは多く、ITソリューションの整備などで課題を解決し、積極的に導入したいところです。本記事ではそのヒントをご紹介します。

テレワーク、リモートワーク、在宅勤務…何が違う?

働き方改革の一環として増えていたテレワーク。緊急事態宣言を受けて導入する企業がより増えたのではないでしょうか。

「通勤時間がなくなるので楽」「オフィスでないと仕事に集中できない」と、人によって賛否が異なる働き方ですが、ニューノーマル時代には、在宅勤務を含むテレワークなど柔軟な働き方を導入する企業が増加していくと考えられます。

ところで、「テレワーク」と「リモートワーク」、そして「在宅勤務」、さまざまな呼び方がされていますが、それぞれ何が違うのでしょう?実は、このなかで明確な定義があるものは「テレワーク」のみです。

日本国内のテレワーク普及活動を行っている一般社団法人日本テレワーク協会によれば、テレワークの定義は「情報通信技術(ICT:Information and Communication Technology)を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方」のこと。通勤にかかる負担を減らすための「サテライトオフィス」が前身で、その歴史から、主に組織に所属して仕事をする人を対象に使われる言葉です。

「テレワーク」は、働く場所によって、「自宅利用型テレワーク」「モバイルワーク」「施設利用型テレワーク」の3種類に分けることができます。このなかの「自宅利用型テレワーク」は、すなわち「在宅勤務」のことで、自宅で作業を行うことを指します。「リモートワーク」は、これらを含め「企業に勤めている・いないにかかわらず、オフィス外で働くこと」を指します。意味合いとしてはどれも似ており、すべて「場所にとらわれない働き方」を指して使われることが多いようです。



コンタクトセンター在宅化の現状

ここまででご紹介したいずれの働き方も、オフィスを離れて仕事をすることになるため、すべての職種に適用できるものではありません。新型コロナウイルス感染症の影響で在宅勤務を行う人が増えましたが、コンタクトセンターではどうだったのでしょうか。

テクマトリックスが2020年6月に実施したコンタクトセンターでの働き方に関するアンケート結果(※)では、緊急事態宣言下でコンタクトセンターの在宅化を全面的または一部で実施したと回答した企業は、全体の半数以下。半数以上が在宅化をせずに営業を続けていました。




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今回のアンケートからは、BCPBusiness Continuity Plan:事業継続計画)対策として、センターの拠点を分散するなどの地震や津波など自然災害を想定したものは用意していたものの、新型コロナウイルス感染症のような疫病の流行は想定しておらず、三密やオペレーターの通勤(移動)を避けた運営までは想定できていなかったという現状も見られました。

ただ、在宅化の有無によらず、以下のような工夫を施して業務の効率化を行い、営業を続けたコンタクトセンターも多くありました。

  • 営業時間や人員の縮退対応
  • 従来の電話量を減らすため、メールやチャット、問合わせフォームなどノンボイス系チャネルへの誘導

  • 企業HPなどのFAQ(よくある質問)コンテンツの充実

コンタクトセンターの在宅化を妨げるもの

では、コンタクトセンターの在宅化を妨げている要因とは一体何でしょうか。

コンタクトセンターの在宅化の課題についてアンケートを実施(※)した結果、上位は「セキュリティ」(64.4%)、「設備(電話機、PCなど)」(58.5%)、「CRMなどのシステム」(42.7%)となりました。この結果から、ITソリューションの導入や見直しによる課題解決がコンタクトセンター在宅化を実現するための重要な要素であると言えます。

実際に、コンタクトセンターで利用するPBXCRMなどシステムのクラウド化やメール・チャットといったノンボイス系チャネルの拡充により、コンタクトセンターの在宅化は以前より可能になっています。


一方で、個人情報が持ち出せない、電話が転送できない、執務室がない、などの課題もあります。ひとつの部屋に集まって、紙のマニュアルを読み、トラブル発生時には手を挙げる従来のコンタクトセンターの在り方を抜本的に見直す必要性に迫られている、と見ることもできるでしょう。

コンタクトセンターを在宅化するメリット

医療従事者といったいわゆる「エッセンシャルワーカー」は、社会活動のなかで「必要不可欠(エッセンシャル)」とされる職種に従事している人(ワーカー)のことを指し、一般的には在宅勤務ができません。外勤営業や店舗などすべての企業活動が停止せざるを得なかった緊急事態宣言下でも、お客さまとのほぼ唯一の接点として稼働し続けたコンタクトセンターもエッセンシャルな存在であると捉えることができます。

また、緊急事態宣言下で電話からメール・チャットなどノンボイス系へシフトしたことと、問合わせ量が増加したことで、コンタクトセンターは今まで以上にVOCが集まる場所になりました。

この、企業にとって大切なセクションであるコンタクトセンターを在宅化することは可能であり、在宅化することによって、次のようなメリットが見込まれます。

  • 通勤時間と距離に捉われず人材を集めることができるため、通勤圏外からも優秀な人材を募集できるようになる

  • 出産・子育て・介護などで通勤や勤務時間に制限がある人に対して柔軟な働き方を提供することができ、離職の抑止にも有効

  • メール対応やチャットボットなどの導入により、センターに勤務して応対していた従来の様式と同等以上の応対品質・生産性を保てる

  • 在宅勤務で拠点を分散させることにより、災害発生時におけるBCP対策と同等の効果がある

  • コンタクトセンターへ出勤する人数を減らすことで、拠点の削減などによる運営コストの抑制が実現する

まとめ

  • 緊急事態宣言下で、「場所に捉われない働き方」である在宅勤務を導入したコンタクトセンターもある。
  • ITソリューションの整備などによってコンタクトセンターの在宅化は可能。
  • コンタクトセンターの在宅化には優秀な人材の確保や運営コストの削減など、多くのメリットがある。

コロナ禍のなか、お客さまとの接点として、コンタクトセンターの存在は、ますます重要なものとなりました。今後、コンタクトセンターの在宅化は喫緊に検討すべき重要課題となっていくのではないでしょうか。うまく在宅化を推し進めたいところです。

※テクマトリックス株式会社によるアンケート概要
【アンケート名称】コンタクトセンターにおける意識調査
【実施期間】2020/6/2~2020/6/12
【実施方法】Web
【有効回答者数】1,066名

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