製薬・医療機器
旭化成ファーマ株式会社様
情報共有環境と業務レベルの向上を目指し、製薬業界くすり相談室向けCRMシステムと外部システムとの連携を強化
- 導入製品・ソリューション
- FastHelp Pe
オンプレミス型
- 目的
- ナレッジ管理
- 業務効率化
- 顧客満足
今回お話をお伺いした方
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薬事・信頼性保証センター
医薬情報部 課長兒玉 雅章 氏
患者様をはじめ、医師・看護師・薬剤師、さらにはMRなども利用する「くすり相談窓口」。
増え続ける問合せに対応するため旭化成ファーマでは、製薬業界くすり相談室向けCRMシステム「FastHelp Pe」と外部システムとの連携を強化し、コールセンター業務の効率化と情報共有環境の整備を進めている。
もくじ |
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「くすり相談窓口」開設当初、コール管理は紙からエクセルへの入力だった
旭化成グループの主要会社の1つとして、医療用医薬品や診断薬などの製造、販売を手がける旭化成ファーマでは、医療用医薬品情報を収集、提供、伝達するための対応窓口となる「くすり相談窓口」を運営している。対応者数は6名と規模は大きくないが、2012年には電話だけで約14,000件におよぶ問合せを処理しており、件数は年々増加傾向にあるという。
「くすり相談窓口」の利用者は、医薬品のユーザである医療消費者のみならず、調剤薬局・病院・クリニックや卸企業などの医師・看護師・薬剤師、さらには社内のMR(医薬情報担当者)や学術担当者と幅広い。当然、問い合わせ内容に関しても、医薬品の有効成分や製剤、使用方法、安全性などについての情報をはじめ、資料や添付文書等の引用文献の請求など多岐にわたる。
「くすり相談窓口」では当初、各コールの報告書を紙で作成しファイリングすると同時に、その情報を表計算ソフトに入力し直すことで情報を集積していたが、コール情報をシステムで一元管理するために、2008年1月に製薬業界くすり相談室向けCRMシステム「FastHelp Pe」を導入した。
CRMシステムをバージョンアップして問合せ増加に対応
FastHelp Peの導入により「くすり相談窓口」の業務環境は、開設時と比較して大幅に効率化された。しかしその一方、「新薬の発売も含め、問合せ数の大幅な増加が予測されたため、さらなる業務改善が必要でした」と薬事・信頼性保証センター医薬情報部の兒玉雅章氏は当時を振り返り、課題点として6つのポイントを挙げた。
- CTI連携が実現されていなかったため、着信時には発信元番号が即時にわからなかった。
- 通録録音装置とCRMが連携してなかったため、コールデータから通話録音を確認することが難しかった。
- システムがシングルウィンドウ構成だったので、複数のコールを並行処理できなかった。
- 着信の振り分け機能がなかったので、着信呼分配がなされていなかった。
- オペレータはノートパソコンでシステムを利用していたため、画面解像度が低く、処理速度も遅かった。
- 一般のオフィスで使用されるビジネスホンを使用していたため、通話中、資料を探すため離席する際などに通話保留の操作が必要だった。
このような課題を解決するため、「くすり相談窓口」では2010年3月にFastHelp Peをバージョンアップしている。また同時に、オペレータの作業環境改善にも積極的に取り組んだ。
「システムをバージョンアップしたことにより、複数コールを並行して処理できるマルチウィンドウ環境や、使用頻度の高い項目をデフォルト表示する画面のカスタマイズなど、効率的に業務をこなすことができる環境を実現しました。
加えて、マルチディスプレイに対応するデスクトップパソコンの採用と、ヘッドセットの使用により通話しながらの離席を可能にすることで、オペレータの作業環境改善にも積極的に取り組み、その結果、資料を参照しながら迅速かつ正確な回答ができるようになりました」(兒玉氏)
さらに運営面に関しても、自動着信呼分配機能を利用して待機時間を基準にした着信振り分けを可能にしたり、オペレータごとの稼働状況を把握できるようにしたという。
「くすり相談窓口」では、このような様々な作業環境の改善と同じく、さらなる業務効率化の促進と情報共有環境を整備するため、FastHelp Peと外部システムとの連携にも取り組んでいる。
「たとえば、FastHelp PeとCTIとを連携させることで、着信時に発信元を表示するようにしました。また、通話録音装置とコールを連携させることで、通話録音の内容を容易に確認できるようにもしています」(兒玉氏)。
外部システムとCRMの連携を強化することで情報共有環境を改善
さらにシステムのバージョンアップ時には、情報共有環境を改善するため、システムに社員のマスターデータを登録。医療機関からの問合せ内容をMRに社内メールで報告する際、その上司や関連する学術担当者のメールアドレスが自動で追加されることで、送信の手間を軽減し、ミスなく確実に情報が伝わる仕組みを構築した。
兒玉氏は、このような仕組みを開発した背景について、「以前は、医療機関からの問合せ内容が担当MRだけにしか報告されていませんでした。そのため、医療機関のクレームなどリスクを含む問合せがあった場合、情報を把握しておくべき上司等に内容が迅速に伝わらず、大きな問題に発展する可能性がありました」と説明する。(図1)
図1. 問合せ内容の報告について(従来)
図2. 問合せ内容の報告について(現在)
最終的に、担当MRだけではなく、担当MRの上司や学術担当者など支店内で問合せ情報を共有する環境を実現し、これまで直接報告していなかった副作用情報もすべてMRと各支店に報告されるようにした(図2)。
「問合せ情報をMR個人のみならず支店全体で把握してもらうことで対応の遅延、不備、トラブルを防ぐことにつなげていきたい」と兒玉氏は語る。
回答内容の均一化や応対スキルの向上によりさらなる顧客満足度の向上を目指す
「くすり相談窓口」では、このように様々な改善の取り組みを実施してきたが、2012年10月にGVP(※)実施部門となり、入手した副作用情報を社内GVP手順に従って取り扱う患者用窓口を開設。今後、副作用の報告件数が増加すると考えている。しかし、そのような状況下でも利用者の満足度を高めるため、以下のような新たな課題に取り組もうとしている。
- リスクを含んだコールをコールセンター内で共有する
- FAX送信との連携を強化し、入力のし直しを不要にする
- 複数メール送信時の省力化を実現する
- コール検索や集計の精度を向上させる
- より精度の高いCMSデータを収得し、オペレータのケアなどにフィードバックする
- 一部の項目のプルダウン化によるリスト表示化を推進する
- 画像や検索機能などFAQシステムの機能を強化する
情報共有をベースに会社全体で対応する環境を整備するとともに、回答内容の均一化や知識のレベルを向上、応対スキルの向上などを目指している。
※GVP(Good Vigilance Practice):平成16年9月22日厚生労働省令第135号にて規定された医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療機器の製造販売後安全管理の基準。
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