段階的なコンタクトセンター拡張とFastGenieによる生成AI活用で複数成果を実現
FastHelp・FastAnswerを基盤に、総対応時間やナレッジ運用効率化、新人教育に成功
株式会社キタック販売 様
- 履歴・ナレッジ・運用ルールをプロジェクト管理ツールやExcel、共有フォルダで管理していたが、ナレッジ蓄積・管理とワークフローの確立が課題となった
- コール数増加により教育負荷も高まり、コーポレートサイトに専用ページを開設したものの、掲載できる件数に限りがあったため、FAQナレッジシステムの必要性が高まった
- 直近では、後処理や検索、ナレッジの生成に要する時間、新人の教育コストなど、新たな運用課題を背景に音声認識×生成AIのPoCを開始した
- FastHelp導入により、入電から記録・回答入力・ナレッジ作成までの流れがシステム化され、オペレーターとSVの業務効率向上と引継ぎの円滑化に寄与
- FastAnswer導入により、社内・社外向けのナレッジ一元管理が進み、顧客満足やコール数削減、新人教育を後押し
- PoCを通じたFastGenie導入では、通話要約やナレッジ候補提案等の活用により、総対応時間1コールあたり約4分短縮、保留率の月次20%削減、新人自己解決率17%向上、ナレッジ作成時間の月次67%削減など、具体的成果が得られている
部長
内田 勇人 氏
技術支援課
課長
輪嶋 正人 氏
技術支援課
係長
岡田 恭佑 氏
技術支援課
主任
亀田 拓哉 氏
技術支援課
志冨 誠道 氏
【背景と目的】
全国約6,000ホールの問合わせを受ける中でも、「Connect/Assist/Lead/Leave a smile」を目指す
株式会社キタック販売は、株式会社北電子の遊技機や、ホール向けIT機器のホールコンピューター、クラウドサービスなどホール周辺機器の販売およびアフターサポートを担う企業である。

中でも営業技術部 技術支援課は現在、主にホールコンピューターの納品、施工、保守に関わる技術支援を担い、電話やメールを通じて全国約6,000ホールからの問合わせを受ける。
同課の業務は、全国ホール向けの一次対応としてのコンタクトセンター運営、社員・協力販売会社向けの一次対応としてのヘルプデスク、社内・社外向けFAQサイトのナレッジ更新を行うWebサイト運営の3つに整理される。
また、現場部門のサポート、生産性と品質の向上、顧客体験の促進、顧客の声の収集・活用、企業ブランドの体現をミッションに掲げ、「CALL:Connect(つながる)・Assist(支援する)・Lead(導く)・Leave a smile(笑顔を残す)」を目指すべき「Callcenter」としている。
今でこそ様々なシステム構築に加え、生成AIもPoC(概念実証)を通して導入、効果を上げている同社だが、それまでには様々な課題もあった。
分散抑止と負荷削減のため手探りの中、コンタクトセンター立ち上げとシステム導入
2019年以前は、全国に展開する各販売拠点が納品、施工、保守、電話応対の全てを担当していた。既存の顧客管理システムで、インシデント管理の仕組みは構築されているものの、電話応対に関しては、各拠点や協力販売会社ごとに回答内容のばらつきが生じたり、顧客の困りごとが滞留したりする状況もあったという。
こうした背景から、時間をかけてコンタクトセンター企画を進め、2019年4月に営業技術部へ技術支援課を新設し、コンタクトセンター立ち上げを推進することになる。同年11月には販売拠点保守担当向けの問合わせ窓口としてヘルプデスクを開設し、さらに2021年3月にはホール向けのコンタクトセンターを開設し、段階的に対応エリアを拡大している。
ただ、初めの頃はなるべく予算を掛けずに経験を積むため、スモールスタートで始め、必要なソリューションを見極めていく進め方を採っていた。そのため、電話対応履歴やナレッジ、コンタクトセンター運用ルールはプロジェクト管理ツールやExcelで作成し、共有フォルダで管理していたという。
手探りだったこともあり、ワークフロー等に不安を抱えていた時に、テクマトリックスから提案や支援を受け、2020年4月にコンタクトセンター向けCRM「FastHelp」の利用を開始した。
コンタクトセンター運営が回り始め少しずつ成長する中で、ナレッジ蓄積・管理についても課題を感じ始めていた。
コール数増加に伴いオペレーター教育負荷も増大し、社外向けFAQサイトとしてナレッジを公開することでコール数を削減したい意向が強まったのである。
その後、コーポレートサイトに専用ページを開設したものの、掲載できる件数に限りがあったため、更新頻度が低下してしまった。
そこで、2024年6月にFAQナレッジシステム「FastAnswer」の利用を開始し、社外向けだけでなく社内向けFAQサイトとしても公開して、負荷を減らしつつコール数削減も目指す体制へと移行した。
FastSeries選定においては、顧客対応履歴、問合わせ管理、ナレッジ蓄積・管理、VOC分析といったコンタクトセンター運営の中核機能を、直感的に操作でき、一元管理できる点が評価された。
また、会社としては国内コンタクトセンター向けCRMの実績、自社開発である点、複数製品を扱う総合力・拡張性、要望理解・提案力、サポートセンターの対応等、様々な観点も評価材料として加点されたという。
そして、立ち上げ期で不確実性が高い局面でも、やらないほうがよいことを含めて率直に示す等、こんにちまでの伴走した姿勢への信頼が長期利用の土台となっている。
各業務時間に着目し、音声認識×生成AIのプロジェクトを開始
コンタクトセンター運営がさらに軌道に乗りワークフローも整備されてきた頃、今度はリソースが定着しない、新規参入者の教育コストがかかるといった、異なる角度での課題に直面していた。
具体的に紐解くと、問合わせ内容を入力する時間がかかる、回答を要約し入力する時間がかかる、応対時のナレッジ検索に時間がかかる、過去ナレッジの有無チェックに時間がかかる、FAQが無かった際に次回から利用可能なFAQを作成することに時間がかかる、という5つに整理された。
そこで2025年9月以降、ACW(後処理時間)削減を目標に音声認識×生成AIのプロジェクトを始動させ、生成AI機能群「FastGenie」を導入してPoCを行い、本稼働へ移行した。 生成AIに順応しにくいオペレーターの意識改革として、利便性を体感させる工夫を重ね、現在は手書きメモを取らず、音声のテキスト化・要約・AIナレッジ検索を実現している。
【導入の効果】
FastHelpで応対ワークフローを標準化し、効率化と満足度向上へ
まず初めに導入したFastHelpにより、入電時操作、電話応対、回答入力、ナレッジ作成といったワークフローがシステム化され、オペレーターとSVの業務効率が向上した。
細かな機能面においても、顧客ごとに一定期間の対応履歴をハイライトできるため、継続案件の引継ぎがスムーズになり、CS・CX向上にも寄与している。また、コンタクトセンターごとにカスタマイズできるレイアウトは、ポカミス防止と工数削減につながり、ES・EX向上にも貢献している。
コロナ禍等の有事においては、テレワークに対応可能なシステムであることがBCP対策の確立につながった。
さらに、VOCを関連部門に還元できる仕組みが整ったことも、コンタクトセンター価値の拡張という観点で効果が大きいとしている。
FastAnswerで社内・社外ナレッジの一元管理、活用領域を拡大
次に導入したFastAnswerにおいては、社内・社外向け両方のナレッジを一元管理ができる点を高く評価している。
社外向けFAQサイトでは、電話応対で説明が難しい案件をFAQに誘導することで対応時間短縮と利用者満足度向上に寄与している。
社内向けFAQサイトは、新入社員向けの社内教育資料として利活用しており、ナレッジを鮮度の良い状態で共有できる点が強みとなっている。
そして、HTMLを用いずとも更新できることでナレッジを作る動機にもつながり、今では社内外合わせて数千ものナレッジを取り扱う運用が定着しつつあり、コール数が減ることを期待しているという。
入電からFastHelpの入力画面表示、FastAnswerのナレッジ検索の流れがシームレスかつ直感的で、画面レイアウトや入力項目を自社で使いやすいようにカスタマイズできる点も利便性やコストの面で評価されている。
FastGenieの生成AI通話要約・検索支援・ナレッジ生成で成果を実現
2025年以降の音声認識×生成AIプロジェクトでは、FastGenieによる通話内容要約(タイトル・問合わせ内容詳細・一次対応詳細)、類似問合わせからのナレッジ候補自動検索、問合わせ内容からのナレッジ生成などを活用。
■通話内容要約
音声認識でテキスト化した通話内容を元に、タイトル、顧客の問合わせ内容とオペレーターの一次対応をそれぞれ要約したテキストとして生成する。
それにより、これまで問合わせ・回答入力にかかっていた後処理の時間を短縮できる。
また、特に文章化に慣れていない新人でも生成支援により属人化を解消でき、生産性向上につながる機能だ。
同社では、課題となっていた問合わせ内容の要約や入力工数といった後処理時間が削減され、総対応時間は1コールあたり約4分短縮されたという。


■応対中のナレッジ候補自動検索
応対中にFastGenie(エージェントアシスタント)へ自然文での投げかけや通話内容テキスト転記で問合わせを行うことで、「ナレッジ情報」「類似チケット情報」「類似チケットで利用されたナレッジ情報」「カテゴリ候補」などが表示される。
ナレッジ検索にかかっていた時間を短縮し、顧客満足度にもつなげられる点がメリットだ。
結果として、1分以内の回答率が向上し、保留率は月当たり20%削減、さらには新人の自己解決率は3人同時に17%上昇という成果につながった。
■ナレッジ候補自動生成
応対後にエージェントアシスタントへ通話の要約内容から、要約内容の内容に近い「ナレッジ」「類似チケット」を表示。内容を確認することでナレッジ作成有無の検討が容易となる。
そして、ナレッジを利用しなかったチケットについては、応対内容を基にナレッジ候補の生成をそのまま自動で行うことが可能だ。
この機能により、これまで問合わせ対応と並行作業で難しかったナレッジ作成が簡略化され、ナレッジ作成時間は月当たり67%削減という大幅な改善につながっている。

FastGenieの活用を通じて様々な成果が得られており、今では手書きでメモを取ることもなく、音声をテキスト化して要約し、該当するナレッジを自動で検索できるため非常に重宝しているという。
さらに、従来は負担に感じやすかったナレッジ作成についても、AIがドラフト提案することで取り組みやすくなり、人気のある業務になったとのこと。
【今後の展開】
文脈・感情を活用したAIマネジメントへ――「笑顔を残す」運営をデータで支える
生成AIの次の挑戦として、同社は音声テキスト化データの文脈を活用したAIマネジメントと感情分析に取り組みたい意向だ。
例えばAIマネジメントとしては、SVが行う応対フィードバックはモニタリングや録音の聞き直しの負担を要するため、AIエージェントによるフィードバック生成を仕組み化し、チケットごとに良かった点・改善点等のアドバイスを提示できればと考えている。
また、感情分析では、音声テキスト化データの文脈から、顧客トークの開始から終了までの感情のポジティブ・ネガティブを推定し、トークの終了がネガティブと予測される案件に対して、笑顔を残すための言葉やアフターフォローにつなげたい考えである。
同社のコンタクトセンター運営では「ありがとう率」へこだわり、トークの終了で顧客から満足して「ありがとう」や類似の言葉が得られた場合はその旨をFastHelpへ入力し、KPIとして集計している。今後は、AIによる判断でも「AIありがとう率」としてオペレーター評価へ反映する構想もあるという。
コンタクトセンターを最初の人材育成部門へ
今後の展望としては、コンタクトセンターに教育を依頼したいと思ってもらえるような立ち位置を社内で確立することを目指している。
それは、コンタクトセンターには情報が集まり、ナレッジを見ながら教育を行え、会社の看板として接することで製品理解度を高い状態に引き上げやすいという考えに基づく。
コンタクトセンターが最初の人材育成部門を担い、顧客対応を通じて傾聴力・提案力・課題解決力を磨く。日々の実践と成長支援により、社員一人ひとりが成長を実感し、将来の中核人材を育成する組織を実現したいという構想である。
その土台として、FastHelp・FastAnswerによる業務基盤とナレッジ基盤、さらにFastGenieの生成AI活用の取り組みを連動させながら、コンタクトセンター価値を継続的に高めていく方針だ。
作成日時 | 2026年9月
記載の情報は2026年9月時点のものです